| 質問:福永信之議員 |
ここ10年間、極端な事例を引き合いに出した政府攻撃などによって「公共事業は税金の無駄遣い」といった世論が形成されました。建設業者はあらゆる業種よりも、格段に低く見られ「税金をねだり税金にぶらさがる者」との見方をされています。一方、圏央道の鶴ヶ島ジャンクションと川島インターチェンジの間に、生息数の増えているオオタカ保護のため、11億円が投じられ、3分の1が県費で賄われても、あるいは県道の東京狭山線の工事がオオタカの生態調査のために総額1億円を超える調査費用が投入され、工事が遅れ県民の利便性を損ない続けていても批判は起きません。 かたや真夏の炎天下に、したたる汗をぬぐい塩をなめながら、あるいは凍てつく真冬の深夜に作業員が必要不可欠な道路補修工事をしていても「また、掘り返している。税金の無駄遣いだ」といった視線が浴びせかけられる。建設業者が懸命になって経費節減努力を行って60%台で落札しても、その企業努力が称賛されることは少ない。 公共工事コストが18年度に12.2%削減されたことが注目されても、その裏で、半分以上の建設業者の会社が、ボーナスの出ない状況であり、出たとしても一律数万円といった状況に陥っていることは顧みられません。努力に努力を重ね、綿密な積算をして入札した価格が予定価格と接近していれば、談合の疑いをもたれ、挙げ句に今回は、総合評価方式の平均落札率の91.4%を下回る90%以下の落札率の業者まで巻き添えにされてしまいます。 道路工事現場で排気ガスを吸い危険にさらされながら一日中、交通誘導にあたる作業員の日当が、有資格者であってなお8600円にしかならず、土木の普通作業員の日当も13200円に過ぎず、年齢加算もないことに、誰も思いをいたさない。 しかも、県土整備部と都市整備部の予算は、12年度に3035億円だったのが、19年度は1749億円です。予算がないから仕事も減り、特に国発注工事で目立つように低入札が繰り返される。ようやく総合評価方式が導入されましたが、もっと拡大することが、ひいては他県に比べて立ち後れている本県建設業者の育成にもつながると思います。 行政は、所得の再配分機能も担っています。この機能が低下の一途をたどっているのが公共事業に従事なさる県民でしょう。 公共事業費はただ安くすれば、それでいいのでしょうか。 公共事業予算はただ削減すれば、それでいいのでしょうか。 それでいて公共事業についての県民要望は多い。 1週間前も、不老川の改修とあわせて人道橋が撤去されて商店が遠くなって困っているとの要望を、現地で高齢者の皆様からお受けした時に、真っ先に脳裏をよぎったのは、県土整備事務所には予算がないだろうなという思いでした。 県内を見渡せば、東京狭山線をはじめ、川越北環状線、和光富士見バイパス、飯能寄居線などの道路整備、老朽化した上武大橋や笠原大橋の架け替えなどが緊急の課題です。そして、何よりも毎回の一般質問の中で、地元問題は、早期施工を迫られる公共事業のオンパレードです。 知事のおっしゃる「安心・安全」は、治安という側面に傾斜しがちですが、私は、県土の整備、特に道路と河川整備事業の充実という観点から、公共事業の充実に向けて見直す時が来ていると思いますが、知事の御所見を承りたいと存じます。 |
| 答弁:上田清司知事 |
お話の中で、安心・安全が治安に傾斜がちだったというふうにご指摘をされましたが、決してそういうわけであったわけではありません。行政全体に、安心・安全の哲学で貫こうという姿勢でやってまいりました。 ただ、16年、17年の世論調査で、「防犯の地域づくりを進める」というのが、県民の第一の関心でございましたので、この部分の不安がやや解消しつつありますということで、そうしたことを述べる機会が多くなって、そのように見られたのかもしれませんが、決してそうではないということを申し上げたいと思っております。 食の安全、あるいは交通安全、あるいは防災、危機管理等についても、しっかりやってきたつもりでありますので、ご理解をたまわりたいと思います。 さて公共事業の充実についてのご提案でございますが、公共事業全てを「悪」とみなすような議論も一部にありますが、真に必要な公共事業は、取り組まなければならないと私も思います。 特に道路や河川、こうしたものは、引き込み線で道路をつくることはあっても、どなたかが道路をつくったりすることはない、正に官の専権的な仕事だというふうに思っております。 埼玉県でも国の河川事業が減ったりすると、県の単独事業を増やしたりして、カバーをしてきたつもりでございます。 さて道路整備では、安全の確保と渋滞の解消に取り組み、過去3年間で2回、交通事故死者数の減少日本一を達成しております。 河川整備でも、浸水被害の解消に努め、例えば鴻沼川では平成8年と16年の同程度の雨で床上浸水戸数が513戸から6戸に減っております。 こうしたかたちでそれなりに、道路や河川などの公共事業は、選択と集中の視点で取り組んでまいりました。 そこで今後は公共事業の実施にあたりましては、選択と集中の視点を堅持しつつ、安心・安全に、福祉的な視点や、環境の視点も加えて、一石三鳥の効果を目指していきたいと思っています。 例えば道路整備では、交通安全と渋滞解消の対策に加え、バリアフリーや景観配慮など、多面的な役割が発揮できるように、心がけたいというふうに思います。 また河川整備では、治水・利水に加え、環境や生態系への配慮、水辺空間などの再生など「川の国」づくりにも頑張りたい、このように思っております。 県民の安心、安全に加え、ゆとりとチャンスの埼玉づくりの基盤となるよう、道路、河川の整備など、公共事業を効果的、効率的に進めてまいります。 |
| 答弁:篠塚正行県土整備部長 |
まず、「総合評価方式の拡大」についてでございます。総合評価方式につきましては、平成18年度から3年間の試行を開始しており、平成19年度は150件、平成20年度は200件を目標に実施する予定でございます。 この方式は、公共工事の品質を確保する上で有効でございますので、この試行を踏まえ対象工事選定基準の策定などを行い、平成21年度から本格実施を行ってまいります。 次に、「加算方式に切り替えること」についてでございます。 価格と技術力を独立して評価する加算方式は、技術力の評価の割合が高いと言われておりますので、現在の除算方式から加算方式に切り替えた場合の課題などについて、今後検討してまいります。 次に、「JV構成員に対する工事実績の評価」についてでございます。 現在、議員お話のとおり、JV構成員は原則として工事実績の評価をしておりません。 今後、企業の技術力をより適正に評価できるよう、他の自治体等の実施状況を参考にしながら、評価対象とするよう検討してまいります。 次に「労務単価を大胆に踏み込んで、見直すべきではないか」についてでございます。 労務単価は、国に、都道府県などが協力して、普通作業員や特殊運転手など51職種について、実態調査を行い、国が決定しております。 毎年、10月の賃金を調査し、翌年の4月からの設計労務単価に反映させており、公共工事の積算にあたっては、この労務単価を使用することとなっておりますので、引き続き、実態を反映した調査が行われるよう積極的に国に協力してまいります。 次に、「交差点の整備について」でございます。 右折レーン設置などの交差点整備については、「交差点スピードアップ100プラン」として平成17年度から19年度までの3か年で重点的に進めており、その効果も実証されております。 しかしながら、依然として交差点での交通死亡事故件数は全体の約60パーセントと多く、交通渋滞も多発しております。 こうしたことから、平成20年度以降も引き続き、交差点の整備に重点的に取り組んでまいります。 現在、道路利用者や警察、市町村などの意見を聞きながら、整備すべき交差点の絞り込みを行っております。 今後は、平成19年度中に「新たな交差点整備計画」を取りまとめ、平成20年度から事業に着手できるよう努めてまいります。 |