| 質問:福永信之議員 |
教育長にもう一点、不登校の未然防止策について、質問します。文部科学省によると、18年度の小中学校の不登校の子どもは、残念ながら5年ぶりに増加に転じ、本県も、7219人から7641人へと422人も増えました。 県教育局からは、18年度に自殺する児童生徒が相次いだことによって、全国的に「無理をして学校に行かなくても」との思いが、不登校の親に広がったことが一因であるとのご説明を受けました。 しかしながら、それでも大阪府など5府県は、減少傾向を堅持しています。 大阪府の場合、10129人から9450人へと679人も減りました。ピークだった13年度の11738人と比べて2288人も減ったことになります。ちなみに本県は13年度7937人、18年度7641人ですから同じ6年間に296人しか減っていません。かつては高かった大阪の不登校出現率は改善を続け、ついに本県と肩を並べました。 ですから、公明党議員団は、その秘訣を探るべく9月に大阪府教育委員会を視察しました。胸を打たれたのは、「不登校は、学校が総力を結集して取り組むべき課題です」と言い切り、全校の担当者を集めた不登校対策会議を毎月、開き続けてきた中心者の熱意です。その線に沿って、何点か質問させていただきます。 まず、不登校について「無理をしてまで学校に行かなくてもいい」「子どもにとって悪いことではない」「スクールカウンセラーなど専門家の対応が大事」「登校するよう刺激しなくても」などといった考え方がありますが、まず、不登校について、学校が総力をあげ、あらゆる手だてを講じて取り組むべき課題であると認識なさっているかどうかについて、それから大阪府の減少ぶりについてのご感想を教育長に、お尋ねします。 次に、本県の不登校は、小学生が1362人、中学生が6279人です。比較すると4.61倍です。中学校に進めば、不登校が4倍を超える。これは全国すべて同じ傾向です。 特に、中学校1年生の1学期に不登校は急増します。 では、どのような子どもが中学校への進学によって新たに不登校になるか。 興味深いデータがあります。 国立教育政策研究所の調査結果によりますと、中学1年生の不登校の子どもの68%が、実は小学校4年生から6年生までの3年間に、不登校の一歩手前である「長期にわたる欠席」や「遅刻早退」「保健室登校」の繰り返しなどの「兆候」を見せているのです。 その原因も、学校ではなく、虐待経験や親との離別など著しい養育環境の変化に起因するケースが増えています。こうなると、担任の先生が一人で家庭を訪問しても跳ね返されてしまいます。 そこで、大阪府が打ち出した対策は、「兆候」を示した子どもについて、担任だけに委ねるのではなく「学校として取り組む」体制、つまり教頭・生徒指導担当・学年主任・担任・養護教諭など学校という集団が、子ども一人ひとりについて個別に対応策を検討する「ケース会議」を開くことでした。 さらに小学校で「兆候」を示した子どもたちについての情報を中学校でも共有し、中学校で2,3日休んだりすれば、直ちにケース会議を開く体制を整えました。 中学進学の後、「兆候」を見せた段階で、「不登校」に陥らないよう、未然防止に万全を期すことで、不登校を減らせる。大阪府はそういう取り組みを始めたわけです。 ですからケース会議は、小学校ケース会議、小中連携ケース会議、中学校ケース会議という3段階で開催しています。 さらに、ケース会議のために、子ども一人ひとりについて個別の「カンファレンスシート」を作成し、その「カンファレンスシート」に基づいて、子ども一人ひとりに対して複数のメンバーが多方面から衆知を結集しています。 ケース会議のケースとは文字通り子ども一人のことですから、一人の子どもの「兆候」の変化に合わせて「カンファレンスシート」が何枚も作成され、その都度、ケース会議が開かれます。一つの学校において、「カンファレンスシート」が年間、数百枚にも達することもあります。「未然防止」が不登校の減少につながるとの意識が徹底されていました。 ちなみに、大阪府の場合は、虐待、離婚など学校以外の部分に不登校の原因、のある子どもに対処するためのスクールソーシャルワーカーも配置しています。 さらに、小学校から中学校へという環境の変化に対応するために、小学校6年生の後半から、中学校教員による交流授業、生徒会役員による中学校生活の紹介、中学校での授業や部活動の参加体験、小中学校合同の行事づくりなどがなされ、小学校と中学校の先生方が連携を取り協力しあえる仕組みをつくりあげていました。 そこで、教育長にお尋ねします。 本県の場合、こうした小中連携による不登校の未然防止について、どのような対策を講じているのかお示しください。また、「カンファレンスシート」の作成、それに基づくケース会議の開催について、本県でも採用なさるお考えはありませんか。 本県の場合、不登校になった子どもの対策が主で、未然防止の観点が弱いと感じますので、前向きな御答弁をお願いします。 また、本県は、中学校に「相談員」を配置していますが、悩みを抱える児童生徒に対処するという面に重きがおかれています。ここに未然防止の観点から新たな役割を加えるおつもりはないでしょうか。 |
| 答弁:島村和男教育長 |
まず、「不登校に対する認識」でございますが、不登校は、児童生徒の進路や将来の社会的自立に関わる大きな問題であり、学校が総力をあげて取り組む最重要課題であると考えております。次に、「大阪府の不登校の減少についての感想」でございます。 本県においても様々な不登校対策に一生懸命取り組んでおりますが、残念ながら平成18年度の不登校児童生徒数は増加をしてしまいました。 このような中、大幅な減少を実現した大阪府の取組は、本県にとっても大変参考になるものと考えております。 県といたしましても、文部科学省の公表後、早速、大阪府の具体的な取組について照会をいたしましたが、未然防止の観点から小学校及び中学校における対策会議、さらに小中連携によるケース会議の設置など、組織をあげて取り組んできたことが、大変効果的であったと考えます。 次に、「小中連携による不登校の未然防止について、どのような対策を講じているかについて」でございます。 小中連携は、中学校で急増する不登校の抑止に大変有効な方策でありますので、新たに今年度、平成19年度から市町村の「小中連携事業」に対して財政支援を行うこととし、現在3市町村に対してでございますが、助成をしているところであります。 また、小中学校合同での学校行事や交流授業などについて一層推進するよう、市町村教育委員会訪問や担当者会議などを通じて指導をしております。 次に、「カンファレンスシートの作成とケース会議の開催について」でございます。 本県におきましても、熊谷市や新座市などにおいて、既に同様のシートを活用し不登校の未然防止に成果をあげておりますことから、市町村の担当者会議において取組内容を発表していただくなど、その啓発に努めております。 今後、個人情報の取扱いの問題やケース会議の運営方法などについて、さらに検討を加え、全県に周知してまいりたいと存じます。 最後に、「中学校の相談員に、不登校未然防止の観点から、新たな役割を加えることについて」でございます。 不登校対策には、児童生徒一人一人の状況に応じた対応が必要であります。児童生徒にとって身近な存在である相談員は、不登校のサインをいち早く察知できる重要な役割を担っております。 積極的に相談活動を行う中で、児童生徒の様々な兆候を見逃すことなく、問題の発見と解決に努めるという、相談員本来の役割について、研修会などを通じて徹底を図ってまいります。 優れた事例に学ぶことは大変意義あることでありますので、議員お話の大阪府の取組も参考にしながら、不登校の未然防止に努めてまいります。 |