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平成29年12月定例会 質疑質問・答弁全文を掲載しました。

「社会的孤立」への対応について
Q 福永信之議員(公明
とりわけ未婚、ひとり暮らし老人の増加による社会的孤立にどう対処すればいいのでしょうか。30代の未婚率は男42.7%、女28.5%、40代、 男30.5%、女17.3%です。年齢層が上がるにつれて未婚率が減少する度合いは鈍化します。今47歳で独身だった方が2040年には、23年後ですか ら70歳になります。独身のままであれば社会的孤立の可能性が高まります。結婚支援は社会的孤立の予防策の一つになると思います。
一方、高齢者夫婦2人の世帯は、23年後には一方の方がお亡くなりになっていると思います。単身になれば認知症リスクが高まります。認知症の方への対応は非常に重要です。2040年に向けて追い込まれると選択肢がなくなります。
社会的孤立に直面する県民を県政は今からどうサポートするのか、知事の御所見を承ります。
A 上田清司   知事
社会的孤立については、強固な地域社会のつながりがある秩父郡市などにおいては、比較的大きな問題になっておりません。
問題は都市部における1人暮らしの高齢者の社会的孤立だと思います。
社会的孤立を防ぐには強い地域コミュニティを作ることが必要です。
例えば、本県では県営住宅において、高齢者から若い世代までの多様な世代が暮らせるよう、子育て世代に優先的に入居していただく取組を進めることで、団地内のコミュニティの活性化に努めております。
また、高齢者が地域活動を始めるシニアの地域デビューを支援しており、先駆的な事業を実施する市町村を応援する取組などを行っています。
今年度は新たに地域活動のきっかけづくりを進め、その後押しをする「地域デビュー楽しみ隊」を結成しました。
社会的に孤立しがちな高齢者が「アクティブシニア」に変身していただくためしっかりサポートしていきたいと思います。
また、地域住民による高齢者の見守りの取組も大事です。
自治会、金融機関、電気・ガス会社、新聞販売店など高齢者と接する機会の多い関係者を構成員とするネットワークを全市町村で構築しております。
地域の住民同士がお互いに助け合う「地域支え合いの仕組み」も、現在全市町村で実施することができるようになりました。
議員お話の結婚支援についても、NPOや商工団体などが行う地域の婚活イベントや、経済団体が行う社員の交流の場に補助するなど、市町村や企業と一体となって支援をしてまいります。
また、認知症は予防法も根本的な治療法もまだ確立されていませんが、何よりも社会全体で認知症の方(かた)を支えることが重要だと思います。
このため、認知症を理解し地域で認知症の方や御家族を支える「認知症サポーター」の養成を学校や企業などとともに推進しております。
強い地域コミュニティは簡単には作れません。
重層的な様々な取組の蓄積によるものだと思っております。
一義的には市町村が取り組んでいるところですが、県としても更に一層支援をしてまいります。
「自宅で死を迎える」ことへの対応について
Q 福永信之議員(公明
2030年代から大量死の時代に入ります。先月、県医師会主催のシンポジウムに参加しました。特に緩和ケア、在宅での看取りについての埼玉医大準教 授の齋木実先生のお話が印象に残りました。「回復見込みのない延命治療を希望するか」との設問に、76%の方が「希望しない」、70代に限れば92%の方 が「希望しない」と答えたそうです。末期がんにおいて「抗がん剤投与などの治療は行わず、痛み止めなどの対症療法だけを行うほうがよい」と答えたのは 74%、70代に限れば90%です。
齋木先生は、面会時間の制限もなく、そばに家族のいる在宅で死を迎えるためには、地域に根差した在宅医の必要性を強調なさって、本県の在宅療養支援診療所が全国平均の半分強しかないことに警鐘を鳴らされました。
そこで、2040年に向かって在宅療養支援診療所を増やすためにどう対応なさるのか、さらに病院の緩和ケアをどう充実していくのかについて、保健医療部長からお答えください。
病院事業管理者からは、県立病院の取組強化についての御所見をお聞かせください。
A 本多麻夫   保健医療部長
まず、2040年に向かって、在宅療養支援診療所を増やすためにどう対応するのかについてでございます。
患者や家族のQOLを考えた場合、住み慣れた自宅で必要な医療を受けられる環境を確保することが大変重要な課題であると考えております。
在宅療養支援診療所につきましては、24時間往診できる体制の整備や医療・介護の関係職種との連携などが必須の要件となっています。
本県では、多くの診療所が常勤の医師が1人であり、24時間体制の在宅療養支援診療所を増やすことは、実際にはかなり困難な状況にあります。
このため、在宅療養支援診療所に限らず一般の診療所も訪問診療を行い、協力し合って地域の在宅医療を支えています。
現場の医師が負担と感じている課題を解消し、一般の診療所を含め在宅医療を担う医師を増やしていく必要があります。
県では全国に先駆け、本年4月までに県医師会の協力を得て、地域の医療・介護連携の核となる在宅医療連携拠点を県内30か所に設置いたしました。
この拠点のコーディネートにより、医師と訪問看護師やケアマネジャーなど医療、介護の関係職種がチームを組んで患者に対応しています。
患者の容体急変時の初期対応や患者や家族からの連絡に対して24時間対応可能な訪問看護ステーションが対応することにより、医師の夜間や休日における負担を軽減し、必要な医療を提供しています。
このほか、頻繁に訪問する看護師や介護職員が把握した患者の状況をICTによりチーム全体で共有し、それを医師が活用して必要な時に患者を訪問するなど効率化が図られています。
引き続き、医師の負担軽減を図りながら地域において訪問診療を担う医師を確保し、在宅医療提供体制の充実に努めてまいります。
次に、病院の緩和ケアをどう充実していくかについてでございます。
がんを始めとする命を脅かす病と闘う患者の苦痛に対応するためには緩和ケアが不可欠です。
緩和ケアとは痛みやその他の身体的、心理的、社会的、本人の死生観にもかかわる宗教・哲学的な問題を診断の早い段階から正確に評価し、治療を行い、苦痛を防ぎ、苦痛から解放していく取組です。
緩和ケアに対応可能な医師などの医療スタッフを確保するため、県では平成20年度から、がん診療連携拠点病院などの御協力を得て、緩和ケアの考え方や専門知識・技術を習得するための研修会を立ち上げ、毎年継続的に実施しています。
平成28年度末までに2,708人の医師が受講を終えており、がん診療連携拠点病院の概ね8割の医師が受講済みとなっています。
また、緩和ケア病床の確保にも努めてまいりました。
県内の緩和ケア病床数につきましては、5年前の平成24年9月の時点で100床であったのが、本年9月時点では263床まで増えております。
今後とも、こうした取組を通じ緩和ケアの充実に努めてまいります。
A 岩中   督   病院事業管理者
今後、在宅医療への移行が進む中で、県立病院としては緩和ケアを充実するとともに、地域医療機関が提供する緩和ケアを支援していく必要があると考えています。
現在、がんセンターの36床の緩和ケア病棟では、患者さんの在宅移行へ向けたトレーニングを行ったのち、緩和ケアを在宅で受けることができるよう訪問医や訪問看護ステーションへつないでいます。
また、都道府県がん診療連携拠点病院として地域の医療従事者向けの公開講座などを開催し、県内の緩和ケアのスキル向上を図っています。
さらに、がんや緩和ケアへの理解を深めてもらうため「がんの集い」という市民、ボランティア向けの勉強会も開催しています。
一方、循環器・呼吸器病センターでは昨年度末に県北地域初の緩和ケア病床を新設し、現在、地域との連携強化に努めています。
緩和ケアはがんだけでなく、心不全や呼吸器疾患への対応も今後重要になると考えています。
こうしたニーズを捉えながら、緩和ケアの取り組みの強化に努めてまいります。
建設業について
Q 福永信之議員(公明
さて、国は賃上げ、そして働き方改革に総力を挙げています。発注権者である埼玉県庁は賃上げ、そして働き方改革にどう取り組むのか、2つの分野について御質問いたします。
まず、建設業についてお伺いします。
10月23日未明、台風21号によって川越市とふじみ野市ではおびただしい数の内水被害が出ました。川越県土整備事務所は21日に建設会社へ土のうづくり を指示、22日夜10時までに新河岸川右岸の越水危険個所に作業員さんが積み終えました。いざという時に身を挺して県土を守るのは、建設会社の皆さんで す。おかげで越水は免れました。川越市寺尾の江川都市下水路の護岸はめちゃくちゃに壊れました。29日の台風22号に備え、突貫工事で修復に当たったのも 建設会社です。一方、川越県土整備事務所の職員も不眠不休で奮闘、さすが県の職員の対応は違う、すごいという声を多くの建設会社からお聞きしました。
大事な建設業です。民主党政権下で疲弊し切った後、国土交通大臣に就任した公明党の太田昭宏さんは、従来の計算式では引上げが不可能だった公共工事設計労 務単価を大臣の政治的決断で引き上げました。低入札価格調査基準も改善、0.30だった一般管理費の算入率を25年度に0.55へ引き上げました。石井大 臣も28年度に現場管理費を0.80から0.90へ、29年3月には直接工事費を0.95から0.97へと引き上げました。ひとえに建設業の担い手の賃金 を適切に確保するためです。予定価格と低入札価格調査基準が改善されれば賃上げにつながります。
しかし、残念なことに中央公共工事契約制度運用連絡協議会モデル、いわゆる中央公契連モデルは合計額を予定価格の10分の7から10分の9の範囲内におさ めるようキャップを定めているのです。低入札価格調査基準の額が予定価格の10分の9を上回った場合、足切りされます。本県はこのキャップを忠実に守り、 市も県に倣っています。だから、仕事を受注したい業者は90%の額を目途に競争します。この結果、平成27年度の都道府県発注工事の落札率を見ると埼玉県 は89.3%です。北海道から愛知県までの22の都道府県で90%を下回っているのは埼玉県だけです。全国比較でも埼玉県の落札率は40位、ワーストセブ ンでございます。
埼玉県は、建設業の担い手の賃上げにブレーキをかけています。10分の9.2までとする栃木県のように、中央公契連モデルとは異なる上限値を定める県があ り、モデル自体を廃止する県も出ています。本県も新年度からモデルから脱却して足切りをやめ、賃上げにつなげるべきです。モデルは国土交通省の通知に過ぎ ません。
総務部長より明快な御答弁をお願いします。
建設業の2番目は、働き方改革です。
施工時期の平準化について、県がゼロ債務負担行為の設定で36億6,200万円、繰越明許費の早期設定で55億4,656万円という議案を今定例会に提出 なさったことを高く評価します。現状では建設業者は第1四半期は半数近い技術者が仕事がない、あるいは年度末完工に向けて土日返上、長時間労働、働き方改 革なんて絵空事と嘆いています。ですから、公明党は、安藤友貴議員が26年9月に、私が26年12月に平準化を訴える質問をこの場で行うなど繰り返し取り 上げてまいりました。
今回の措置によって、来年の4月、5月、6月にどれだけ工事が増えて、施工時期が平準されるのか、そして建設業の担い手の働き方改革にどのような好影響が及ぶのか、県土整備部長に御質問いたします。
A 高柳三郎   総務部長
県内建設業の皆様には道路や河川などの整備、維持管理といった業務だけでなく、台風や大雪など自然災害時に迅速な復旧活動を行い、地域の安心、安全を支える重要な役割を担っていただいております。
このため建設業の皆様には、担い手を育成するために必要となる適正な利潤を確保し、健全な発展をしていただく必要がございます。
県では、下請け業者へのしわ寄せなどにつながるダンピングを防止する観点から、調査基準価格などを定めております。
調査基準価格の上限を、いわゆる中央公契連モデルを用いて予定価格の10分の9としているのは、関東近県では千葉県や群馬県、山梨県などでございます。
県では調査基準価格は平成20年以降7回引上げております。
この結果、本年10月末時点の平均落札率は91.3%に上昇しております。
これは、近年で平均落札率の最も低かった平成22年度と比較すると約6ポイント上昇しております。
調査基準価格の上限値の廃止については、建設業が適正な利潤を確保できるよう、今後も入札状況の推移を注視しながら適切に対応してまいります。
A 西成秀幸   県土整備部長
これまでの平準化対策としましては、発注計画の公表や前年度中に準備をして、第1四半期に発注する取組を行ってまいりました。
その結果、第1四半期の工事件数は年平均と比べ、平成16年度は65%でしたが、平成28年度には75%と改善しました。
さらに、いわゆる「ゼロ債務負担行為」を設定し、第1四半期の工事量の確保に取組んでまいります。
これにより平成29年度中に契約行為を行い、平成30年4月から確実に現場をスタートさせることができます。
平成30年度には年平均の90%以上となることを目標に、こうした対策をしっかり行ってまいります。
また、平成28年度に引き続き、年度内に完了しないことが明らかになった工事については、繰越明許費を設定し適切な工期を確保いたします。
これらの取組により、本県建設業の経営の健全化や雇用の安定化を図るとともに、公共工事の品質の確保につなげてまいります。
今後も建設業の皆様のご意見を伺いながら、さらなる施工時期の平準化により、休日の確保や長時間労働の抑制など、働き方改革の実現に向けて取り組んでまいります。
特別支援学校のスクールバスについて
Q 福永信之議員(公明
特別支援学校のスクールバスには、送迎バスや路線バスとは比較にならない細かな配慮が求められます。運転手さん、添乗員さんは年間通して同じ人が望 まれます。児童生徒との人間的な交流が大事だからです。できれば新車が望まれますが、新車は1台約2,000万円、国内調達も困難化しています。車体には 大きく学校名、休みでもほかの用途には転用できません。一般競争入札で5年契約、5年間学校専用です。折からガソリン価格も上昇し続け、運転手さんなど乗 務員の賃上げの流れも加速しています。
こうした状況を踏まえ、契約期間の途中においても賃上げに向けた何らかの措置を講じるべきと考えますが、教育長にお尋ねします。
さて、現行の5年契約が今年末に終わる5校4本の一般競争入札が先日行われました。4本のうち3本は予定価格が低過ぎたため、1回の入札では決まりません でした。再入札、見積もりの聴取による随意契約などを経て運行会社が決まりました。委託金額は5年前に比べて3割から5割ほどアップしました。
さて、30年12月末に5年契約が終わるのは5校5本ありますが、うち3校は200日実働とした場合の1日単価は4万円未満です。この金額で乗務員2名の給与、バス減価償却、本社経費を賄っています。こんな金額でいいんでしょうか。
新年度は実勢に見合った予定価格を設定すべきと思いますが、併せて教育長の御見解をお示しください。
A 小松弥生   教育長
まず、「契約期間の途中においても何らかの措置を講じるべき」についてでございます。
特別支援学校のスクールバスを受託するバス事業者は、バスの調達や改造などに多額の初期投資が必要となります。
このため、バス事業者が安定的に業務を遂行し、運転手などを継続的に雇用ができるよう、5年間の長期継続契約としております。
契約期間の途中においても、毎年、児童生徒の増加による運行ルートの変更や増便等が必要なため、契約内容を見直しております。
見直しをする際には、必要となる経費を可能な範囲で反映するよう努めておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
次に、「実勢に見合った予定価格の設定」についてでございます。
今年実施した4件の一般競争入札のうち3件が、1回目の入札で落札されませんでした。この要因は、バス購入費用の上昇や運転手の不足等による人件費の上昇などと考えております。
児童生徒にとって、スクールバスは安全・安心なものでなければなりません。
そのためには、適正な水準の賃金や雇用条件により、必要な資質を備えた乗務員を確保することが重要です。
今後も、国が発表する労務単価表や近県の契約金額等を適切に把握し、賃金の上昇を反映することで、実勢に見合った予定価格としてまいります。
通信制高校について
Q 福永信之議員(公明
行政で大事なことは公平性です。ところが、本県の父母負担は全国トップクラスという言葉から置き去りにされ、公平性が担保されていない分野が2つあります。不公平の是正を求めて順次質問いたします。
まず、通信制高校についてお伺いします。
県立大宮中央高校と特区指定で株式会社立の高校を除き、私立の通信制高校は8校あり、全私立高校生の約3.6%、約2,100人の生徒が学んでいます。通 信制高校の父母負担軽減については、平成16年に公明党の久保田厚子議員が質問、翌17年度から実施されましたが、その後12年間全く変わっていません。 全日制は改善されたのに、通信制は置き去りです。全日制の高校を中退した生徒は、単位制の良さを生かして通信制の週1日コースで、小中学校で不登校などで 基礎学力が定着していない生徒は週4日コースで学べます。通信制がなければ社会の軌道から外れたままになる生徒をよみがえらせているのです。
しかし、父母負担軽減措置はお寒い限りです。全日制であれば授業料の補助のほか、年収500万円未満の家庭には施設等納付金が年額20万円、3年間で60 万円、プラス初年度入学金10万円、合計70万円が補助されます。しかし、通信制は1円も補助されません。ある通信制高校の施設充実費は、普通科の週1日 コースは年額3万円ですが、週4日コースは年額21万円、3年間で63万円です。入学金はそれぞれ3万円と24万円です。ところが、そこへ県は1円も補助 を出していない。
次に、授業料。全日制は年収609万円未満であれば、国の就学支援金と合わせて年間37万5,000円が補助されます。でも、通信制は年収500万円未満 までは29万7,000円が上限、609万円未満の場合は上限は20万円です。ある通信制の授業料は、週1日コースは単位数掛ける8,000円ですが、週 4日コースは月3万4,000円、全日制並みです。なのに通信制を差別しています。県立大宮中央高校と違って、私立の通信制高校の場合は3年間でほぼきち んと卒業しています。知事はこういうことを御存じだったでしょうか。
角度を変えます。通信制には年収の低い御家庭の子弟が多いのが特徴です。ある高校では市町村税非課税世帯が25%を占めています。約7割が年収590万円未満の世帯です。所得の低い家庭から通信制に学んでいるのに、県は補助を出さない、少ない、これが埼玉県行政です。
知事にお尋ねします。知事は、12年間どうして通信制を置き去りにしてきたのでしょうか、理由をお答えください。さらに、新年度からは全日制と同じ補助にすべきと考えます。貧困を連鎖させてはなりません。前向きな御答弁をお願いします。
A   上田清司   知事
本県認可の県内私立通信制高校8校には約2,100人の生徒が学んでおり、本県私学における高校教育の一翼を担っております。
本県では、私立通信制高校で学ぶ生徒の授業料に対しても、国の就学支援金に県単独の補助金を一部上乗せして補助を行っております。
対象世帯は、年収約910万円未満までの世帯とし、所得に応じて段階的に29万7千円から11万8,800円を補助しております。
本県と同様に県単独で授業料の上乗せ補助を行っている都道府県は本県を含めて21あります。
そのうち本県は、対象年収では全国で第4位、補助上限額では第11位と決して低い水準ではありません。
また、全日制高校に比べて授業料の補助上限額などが低いのは、授業料の平均額に約13万円ほどの差があることを考慮した結果であります。
通信制の方が授業料が安いという事実もございます。
同様に施設費では約10万円、入学金では約15万円ほど通信制の方が全日制より平均額が低くなっているため、補助は行っておりません。
このように、本県では通信制高校に通う生徒への支援を決して放置してきたわけではございません。
厳しい財政状況の中でも、一定水準の支援は行っておりますことを是非御理解いただきたいと思います。
次に、新年度から全日制と同じ補助にすべきと考えるかについてでございます。
通信制高校の授業料などの状況や厳しい財政状況を踏まえると、来年度から直ちに県単独の補助を拡充することは難しいと考えております。
しかしながら、全日制、通信制を問わず私立高校に通う生徒が安心して学べる環境を整えることは重要な課題でございます。
また、県内の通信制高校は、登校による面接指導に力を入れたり、自動車科や福祉科などを設け職業教育を行うなど様々な特色を持っています。
現在国においては、就学支援金制度の効果検証と更なる充実に向けた検討が行われております。
この検討状況を踏まえた上で、本県の通信制高校の補助の在り方についても検討してまいりたいと考えております。
再Q 福永信之議員(公明
(3(2)県外の全日制私立高校についての再質問と共通)
3番の教育費の父母負担軽減について、知事に再質問を行います。
知事は、今やるとどれだけお金がかかるんだとか、試算の経過をお示しになったんですけれども、本来示すべきはですね、私思いますよ、質問通告した6日には 埼玉新聞にも記事が載っていましたよ。国が住民税非課税の低所得世帯については、就学支援金を年額39万円に引き上げる。年収350万円未満で約35万円 にする、年収590万円未満では25万円に引き上げると。それをやって、国がやれば、どれだけ県が単独でやっている分の財源が楽になるか。その財源を振り 向けたい、このぐらいの答弁が欲しかった。
しかもですよ、その10億とかかかるとおっしゃるんだけれども、国がこれをやれば、1年間だけですよ、県が出せばいいのは。そういう視点に立った根本的な、困っている人に対する応援をしようという姿勢が欠如しているのがとても残念な答弁でした。
だから、今後、これは国の制度は2019年度実施のようですけれども、単年度だけでも何とかできないかという発想に立ってもらいたい。ともかく公平性が担 保されていない通信制とその県外の私学に通っている人に対して何かできないか、何かやろうという知恵を絞るところからスタートすべきであると私は思うんで すよ。
それで、答弁の中で例えば通信制、私も質問で言ったつもりなんですけれども、平均額のことをおっしゃる。でも、例えば入学金だったら週1日制は3万円、4 日制だったら24万円ですよ。これ平均して言うんじゃなくて、一人ひとりの生徒に引き当てて考えた形で知恵を絞っていただきたいと思います。
1円も出せないというようなことではなくて、次年度から、2019年度から国はこんなふうにやってくれていると。じゃ1年、埼玉頑張ろうじゃないかという姿勢に立ったときに、違う答弁が出るんじゃないでしょうかね。
それから、もう一歩、県外に通っている家庭のことについても、東京都の事例とかいろいろおっしゃったけれども、現実に埼玉県から2万人行っているわけなん ですよ。それに対して、130万円に対して、こっちは0だと。そのまま放置していいのかということについて、知事、心の痛みはないんですかね。
そういう姿勢からの何か人間味あふれる答弁とは距離感があったので、もう一度お答えいただきたいと思うわけでございます。
最後になりましたけれども、通信制高校というのは高校中退なさったお子さんが行くわけですよ。県立高校辞めちゃって、そのまま、辞めたままだったらニート になっちゃうような子が、そこへ行ってよみがえっているわけだ。あるいは不登校だった子、そういう子供が学んでいるわけ。
せんだって木下委員長が総務委員会で視察をなさった清和学園、あそこなんか週4日制で全員卒業して国家資格取っているじゃないですか。全国で初めて調理学科も作ったと聞きましたよ。私も見ました。埼玉医大の先生が教えているんですよ、すごいなと思いましたね。
だから、週1日制のところと4日制のところと実態をよくごらんになった上で、何か知恵を絞ろうじゃないですか。再度、知事の前向きな御答弁を御期待申し上げまして、再質問にいたします。
再A 上田清司   知事
通信制についてはご指摘がございましたように、確かに決して本県が劣っているわけではありませんが、少しずつ流れが変わってきていることも事実です。
福祉の分野で大変すばらしい業績を上げておられる、あるいは自動車の整備の資格を中心とした週4日レベルでのしっかりとした修学コースがあることとか、そ ういった部分に関して一律で考えない方がいいのではないかというご指摘は、しっかりと踏まえていきたいと思っております。
これについては、今後、内容をしっかり整理した上で考えていきたいと思っております。
県外の全日制私立高校について
Q 福永信之議員(公明
もう1つの置き去りにされた分野です。2月の予算委員会で私が、6月定例会では公明党の萩原一寿議員が質問しました。萩原県議に対する答弁で、知事 は4つの課題を挙げました。1つ、県外通学する生徒への補助を行っている都府県の成果と問題点をよく調べる。2つ、本県の近隣県がどう考えているか把握す る。3つ、県内私立高校へどのような影響が出るか調べる。4つ目が、事務処理体制について詳細な検討が必要でした。最初の3点には、県外の私立高校へ通学 する生徒の御家庭をどう支援しようかという視点が皆無でした。
私学助成の2本柱は、学校への運営費補助と父母負担軽減事業補助です。本県以外の私立高校へ通学した場合、この2本柱の恩恵はゼロです。同じように県民税 を納めているのに、こんな不公平はありません。国は、高校所在地にかかわらず平等に就学支援金を補助しています。年収499万円の御家庭、県内の私立高校 へ通学すれば県独自の授業料と施設等の納付金の補助が3年間で119万400円、入学金が10万円、合計130万円が補助されます。ところが、県外の私立 高校に通うとゼロ円です。130万円対0円。こんな大きな差別がほかの分野にありますか。年収590万円以上、609万円未満の御家庭でも県内高校では授 業料について3年間で76万8,600円の県の補助があります。県外高校はゼロ円です。
全日制の県立高校の在籍数は約12万人。県内在住で県内の私立高校に通う生徒は約4万8,000人なのに対して、県外の私立高校へ通う生徒は約2万人いま す。本県の中学校卒業生が全員本県の県立高校、私立高校に進めるのでしょうか。約2万人の生徒に学びの場を提供しているは県外の私立高校です。
不公平の是正に向けた知事の前向きな答弁を求めるものであります。
A 上田清司   知事
県外の私立高校に通学する生徒、いわゆる県外生については、国の就学支援金制度により一定の支援が受けられる仕組みができております。
東京都は都外に通学する生徒が少ないこともあり、包括的に都内都外の区別をしておりません。
東京都以外の関東各県も県外生には補助を行っておらず、本県も厳しい財政状況も踏まえ、県外生への補助を行っていないところでございます。
しかしながら、御指摘を頂きましたので、関西圏で既に同様の政策を実施している京都府や兵庫県などの状況も調査させていただきました。
京都府では、他県間での相互補助の合意を原則としているため、通学先によっては対象外になる府民が生じてしまうなどの課題がありました。
兵庫県では、地理的な要因による通学困難者対策として、特定の県への通学者のみを対象に補助を実施しているということになっておりました。
関西圏の府県からは、県外生の補助については、財源措置を含め国が一律の制度として実施すべきであるという意見を聞きました。
県外生補助が県内私立高校に与える影響については、個々人の最終的な進路選択は様々な要因や事情に左右されております。
そのため、残念ながら、現時点ではその要因を明確に分析できるデータを見つけられませんでした。
しかしながら、平成21年度と平成29年度の私立高校の入学者数を比較すると、県内生は1万5,700人から1万7,067人に増加しています。
一方、県外生は5,442人から4,607人に減少しています。
財政面への影響ですが、試算しましたところ授業料のみの補助でも事務費を含めて約10億7,000万円の費用が必要となります。
さらに、施設費や入学金も対象とした場合には、合わせて約20億7,000万円と見込んでおります。
以上のようなことから総合的に考えると、来年度から本県独自で県外生への補助を実施することは、大変恐縮ですが、現時点では困難な状況と言わざるを得ません。
現在、国では公明党が掲げられた公約を契機に、年収約590万円未満世帯までを対象とする私立高校授業料の実質無償化が検討されております。
これらの検討結果を踏まえた上で、引き続き県外生への補助の在り方について検討を進めてまいりたいと考えております。是非御理解を賜りたいと思います。
再Q 福永信之議員(公明
(3(1)通信制高校についての再質問と共通)
3番の教育費の父母負担軽減について、知事に再質問を行います。
知事は、今やるとどれだけお金がかかるんだとか、試算の経過をお示しになったんですけれども、本来示すべきはですね、私思いますよ、質問通告した6日には 埼玉新聞にも記事が載っていましたよ。国が住民税非課税の低所得世帯については、就学支援金を年額39万円に引き上げる。年収350万円未満で約35万円 にする、年収590万円未満では25万円に引き上げると。それをやって、国がやれば、どれだけ県が単独でやっている分の財源が楽になるか。その財源を振り 向けたい、このぐらいの答弁が欲しかった。
しかもですよ、その10億とかかかるとおっしゃるんだけれども、国がこれをやれば、1年間だけですよ、県が出せばいいのは。そういう視点に立った根本的な、困っている人に対する応援をしようという姿勢が欠如しているのがとても残念な答弁でした。
だから、今後、これは国の制度は2019年度実施のようですけれども、単年度だけでも何とかできないかという発想に立ってもらいたい。ともかく公平性が担 保されていない通信制とその県外の私学に通っている人に対して何かできないか、何かやろうという知恵を絞るところからスタートすべきであると私は思うんで すよ。
それで、答弁の中で例えば通信制、私も質問で言ったつもりなんですけれども、平均額のことをおっしゃる。でも、例えば入学金だったら週1日制は3万円、4 日制だったら24万円ですよ。これ平均して言うんじゃなくて、一人ひとりの生徒に引き当てて考えた形で知恵を絞っていただきたいと思います。
1円も出せないというようなことではなくて、次年度から、2019年度から国はこんなふうにやってくれていると。じゃ1年、埼玉頑張ろうじゃないかという姿勢に立ったときに、違う答弁が出るんじゃないでしょうかね。
それから、もう一歩、県外に通っている家庭のことについても、東京都の事例とかいろいろおっしゃったけれども、現実に埼玉県から2万人行っているわけなん ですよ。それに対して、130万円に対して、こっちは0だと。そのまま放置していいのかということについて、知事、心の痛みはないんですかね。
そういう姿勢からの何か人間味あふれる答弁とは距離感があったので、もう一度お答えいただきたいと思うわけでございます。
最後になりましたけれども、通信制高校というのは高校中退なさったお子さんが行くわけですよ。県立高校辞めちゃって、そのまま、辞めたままだったらニート になっちゃうような子が、そこへ行ってよみがえっているわけだ。あるいは不登校だった子、そういう子供が学んでいるわけ。
せんだって木下委員長が総務委員会で視察をなさった清和学園、あそこなんか週4日制で全員卒業して国家資格取っているじゃないですか。全国で初めて調理学科も作ったと聞きましたよ。私も見ました。埼玉医大の先生が教えているんですよ、すごいなと思いましたね。
だから、週1日制のところと4日制のところと実態をよくごらんになった上で、何か知恵を絞ろうじゃないですか。再度、知事の前向きな御答弁を御期待申し上げまして、再質問にいたします。
再A 上田清司   知事
いつもながら、弱い人たちに対する思いやりのある御質疑、大変感謝しております。
一方、県政において公平性ということについても考えなければなりません。多角的に考える公平性というのがあります。
例えば公共調達において、県内事業者に対する手厚い保護が大きすぎる、多いと、こういったところでの注意を受けたりします。
おのずから、県政の予算の支出においては県政全般に渡る分野ということが基本にあったと、私はそんな理解をしております。県内私学振興という枠組みも1つあります。
例えば、東京大学に合格する人たちの子弟の年収の多さということなども週刊ダイヤモンドなどでよく指摘をされます。
そういうものの中でも、何を推定するかということについて色々議論がありますので、なかなかデータはありませんと申し上げました。
ただ、私学助成ということに関して、県外生という枠組みをこうして作っている。予算があり余るという形であれば話は別でありますが、これはやはり、ナショナルミニマムの部分と県内ミニマムの部分があるのではないかというふうに私は理解をしております。
したがって、いわゆる国が今行っているところの私立学校の実質無償化、これは正にナショナルミニマムで考えが出てきていると思います。
私学振興における県内の振興の部分は、県の支出の中で考えているものでありますので、おのずからそこに差があるのではないかという理解の中で、これまで伝統的に差をつけてきたというものがあります。
幸い、私学全体について無償化、全体としてミニマムを作ろうという動きがありますので、その中で解決すべきものではないかというお答えをさせていただきましたので、これについては御理解いただきたいと思います。
農業大学校について
Q 福永信之議員(公明
農業は後継者不足、人手不足が叫ばれて久しい。県立農業大学校は立派になり、学びたい若者が増えています。公明党県議団として春に視察した折に、定 員を増やすことをお考えにならないのでしょうかと申し上げたところ、教員の確保という課題があるとのことでした。しかし、農家の皆様など外部講師を大胆に 取り入れる、あるいは短期コースを充実させて就農する人材を育てるべきではないかと考えます、あれだけ立派な施設なんですから。
現状の農業大学校の入学希望者の状況はどのようになっているのか、今後の定員増への取組について、以上2点につきまして、農林部長からお答えください。
A 篠崎   豊   農林部長
まず、「農業大学校の入学希望者の状況について」でございます。
平成29年度は、定員90人に対し受験者数124人で、うち合格者は91人となっています。
次に、「定員増への取り組みについて」でございます。
農業大学校は、熊谷市への移転に併せ、1年課程の短期農業学科に有機農業専攻を設置し、定員を85人から90人に増やしました。
新たに設置した有機農業専攻では、有機農業の先駆者である小川町在住の農業者を講師に迎えるほか、気象学では立正大学、食品栄養学では女子栄養大学から教授を招くなど、外部講師を活用しています。
一方で、就農意欲の高い学生の確保も重要です。
このため、平成28年度から農業高校生を対象とした宿泊研修を実施しており、参加した3年生18人のうち9人が本年4月に入学しています。
優れた経営感覚を持ち、高い技術と知識を備えた実践力のある人材を育成するという農業大学校の目的や施設の規模を考えると、受験者の選考も必要と考えており、議員御提案の定員増につきましては、受験者の動向などを見極めながら検討してまいります。
小規模企業、中小企業の在職者のスキルアップについて
Q 福永信之議員(公明
小規模企業、中小企業の在職者のスキルアップについて、人材育成の観点から産業労働部長に御質問します。
まず、在職者のスキルアップのために、県はオーダーメイド型技能講習と派遣型技能講習を実施しています。すばらしい取組ですが、どの程度活用されているのか、そしてそれで十分だとお考えなのか、お答えをいただきたい。
さらに、生産性の向上に当たってはITやAIの活用推進が重要ですが、在職者のスキルアップをどのように支援なさっていくのかについてもお答えください。
A 渡辺   充   産業労働部長
まず、オーダーメイド型技能講習と派遣型技能講習の活用についてでございます。
県では、自ら社員教育を行う余裕のない小規模企業や中小企業を支援するため、高等技術専門校で在職者向けスキルアップ講習を実施しております。
その中で、特に企業の要望に応えるオーダーメイド型や講師を派遣する講師派遣型の講習に力を入れているところです。
これらの講習は、受講者が3人以上集まれば、企業がカリキュラムや日時・場所などを自由に決めることができます。
平成28年度はこの2つの講習を、延べ208社、1,455人の方に受講いただきました。
講習を受けられた企業からは、社内全体の技術水準が向上した、不良品の発生が減少したなどの声をいただいております。
今後とも多くの企業に講習を活用してもらえるよう更にPRするとともに、より一層企業ニーズに合った技能講習となるよう努めてまいります。
次に、生産性向上に当たって重要なITやAIの活用推進のため、在職者のスキルアップをどのように支援していくのかについてでございます。
ITやAIなどの活用は、企業が存続・発展するためには欠かせないものであります。中小企業などでは、この分野の人材育成が後回しにされる傾向もございます。
このため、県では在職者向け講習として、パソコンの文書作成や表計算、プログラミング、コンピューター製図など、基礎から応用まで多様なメニューを用意しております。
また、産業振興公社においても、ITに関するコンサルティングやIoT活用に関するセミナーの開催、さらには個別の相談を受けているところであります。
今後も、こうしたIT分野に関する支援策を充実し、多くの企業に活用していただき、企業が厳しい競争の中にあっても活躍できる人材の育成を支援してまいります。
医療的ケアの必要な特別支援学校の生徒について
Q 福永信之議員(公明
私は、先月、川島ひばりが丘特別支援学校を視察しました。人工呼吸器をつけた児童生徒、胃ろうの児童生徒もいます。登校するとまず手洗い、続いて血 中酸素濃度などを測り、お薬などをチェックし、水分を注入します。給食を自分で食べられない生徒には栄養注入をします。導尿による排泄、たんの吸引も欠か せません。呼吸器を外したり装着する作業は、お母さんが一日学校で過ごし受け持ちます。
医療的ケアの必要な児童生徒は、平成24年度に144人でしたが、昨年度は173人へと増えています。平成28年度の担当教員数は138名、それに常勤 22名と非常勤13名の計35名の看護師が加わり、総計173名が学校生活を支えています。教室を視察しました。先生と看護師の皆さんのきびきびとした動 きと真剣さ、児童生徒に注ぐ温かな眼差しに胸が熱くなりました。
児童生徒の瞳の輝き、様々に見せてくれる表情の変化にはもっと感動しました。お母さんがこうおっしゃいました。「家にいるときと学校にいるときとでは表情 が全く違います。お友達と一緒に学びの場にいることがいかにすばらしいか。でもうちの子は18歳、卒業後進む先が決まっていません」、ずしりずしりと重い 言葉でした。広々とした校舎がない、先生と看護師さんもいない、そして友達がいない在宅、18歳を境とする落差は大き過ぎます。
また、毎日お子様と一緒に学校へ通い、一日学校で過ごすお母さんからは「ショートステイがもう少し増えれば」との声も寄せられました。医療型のショートス テイ施設は空床利用型の埼玉療育園のほか、県立嵐山郷の35名、埼玉医科大学関連の光の家13名とカルガモの家3名、そのほかは中川の療育センターが2 名、福祉医療センター太陽の園5名だけです。
医療的ケアの必要な重度心身障害を持った生徒が卒業後に進む先となる、医療と療育ケアが必要な方々の入所できる施設の拡大、さらに医療型ショートステイの拡大についてどう取り組まれるのか、福祉部長の御見解を承ります。
A 田島   浩   福祉部長
まず、医療と療育ケアの必要な方々の入所できる施設の拡大についてでございます。
障害のある方が地域で安心して暮らせることが望ましいと考えておりますが、地域で暮らすことが困難な重度の障害がある方もおられますので、必要な入所施設については整備しなければならないと考えております。
医療と療育を受けられる入所施設は現在、県内に6箇所ありますが、平成30年4月にはさいたま市内の小児医療センター跡地に新たな施設が開所する予定になっております。
この施設の入所定員は60人で、ショートステイや在宅療養支援のための外来診療も実施されます。
今後新たにできる施設を含めた利用状況を踏まえ、施設整備の必要性について検討してまいります。
次に、医療型ショートステイの拡大についてでございます。
在宅で医療的ケアの必要な重度の心身障害のある方を介護している保護者の負担は大変重いものがあると考えております。
議員お話のとおり、医療と療育を受けられる入所施設におけるショートステイは少なく、身近な場所で利用できる状況にはなっておりません。
このため県では、県内に数多くあり、看護師が常時配置されております介護老人保健施設におけるショートステイを推進しております。
具体的には平成27年度から介護老人保健施設協会の協力を得て、施設の看護師などに重度障害に関する知識を学んでいただく研修などを実施しております。
これにより、現在受入れ可能な介護老人保健施設は10箇所となっております。
今後個々の介護老人保健施設への直接的な働き掛けなどにより、医療的ケアの必要な重度の心身障害のある方が身近な場所でショートステイを利用できるよう努めてまいります。
圏央道の4車線化について
Q 福永信之議員(公明
私は、この夏、圏央道を全線走って常磐道に入り、福島県の帰還困難区域を視察しました。ハンドルを握りながら暫定2車線区間の早期4車線化の必要性 を痛感しました。片側1車線区間は制限速度70キロ、路側帯も狭く、事故が起きて救急車両が到着し、圏央道をおりるまでに10時間近くかかった例もあるそ うです。成田空港へ行くとき、圏央道は時間が読めないとも言われています。常磐道も暫定2車線部分があり、国へ早期4車線化の要望がなされ、横断幕も掲げ られています。圏央道にはありません。
本県の圏央道以北地域から、成田空港、茨城、東北沿岸部に向かう利便性を確保するためには、4車線化が不可欠です。国は、財投の1兆5,000億円を活用して高速道路を整備する方針であり、圏央道の4車線化も視野に入っていると報道されています。正にチャンスです。
上田知事より、この課題に取り組む力強い御決意を承りたいと思います。
A 上田清司   知事
圏央道は平成29年2月26日に茨城県区間が開通し、本県は観光や物流の国際的な玄関口である成田空港と直結しました。
これにより、本県の地理的優位性は一層高まり、企業立地の進展など圏央道の地域経済への波及効果が更に加速していくものと考えております。
10月には圏央道を利用した成田空港への高速バスの運行も開始されるなど、本県への外国人観光客の増加も期待できます。
一方で、圏央道の東北道より東側の区間は暫定2車線であるため、渋滞や衝突事故の発生、通行止めの頻発など多くの課題がございます。
国においては圏央道をより早くつなぐことを主眼にしていたため、一部区間について暫定2車線で事業が進められてきました。御承知の通りでございます。
既に約9割がつながり、今後は事故や渋滞を防ぐため議員御指摘のように速やかに全線を4車線化すべきだと考えております。
現在、国では財政投融資を活用し、圏央道の4車線化などの大都市圏の高速道路の整備を加速化する方針を示しております。
高速道路の機能を格段に向上させる圏央道の4車線化は、物流、観光、企業立地、災害時の輸送など本県にとっても非常に大きな意味を持っております。
これまで私もあらゆる機会を捉え、国に対して強く働き掛けてまいりましたが、更に一日も早い全線4車線化を目指して国や関係機関に要望してまいります。
国土交通大臣は、2代続けて公明党所属議員が務められておりますので、福永議員からもバックアップをよろしくお願いいたします。
内水対策の充実について
Q 福永信之議員(公明
台風21号は、10月23日未明に川越市で床上浸水245棟、床下浸水232棟という被害をもたらしました。被害が集中したのは寺尾地区、隣接する ふじみ野市でも床上浸水218棟、床下浸水87棟でした。災害救助法は、床上浸水によって一時的に居住できなくなった家屋については3世帯を住家滅失世帯 の1世帯とカウントし、半壊以上の場合、57万4,000円相当の応急修理を受けることができます。
しかし、自治体の人口に応じた適用基準があるため、川越もふじみ野市も非該当です。両市の人口を合計して1つの自治体と仮定すれば、床上浸水家屋数は基準を満たします。道路1本隔てただけなのに自治体の壁が適用をはばんでいます。人口規模だけを見た基準は非合理的です。
この壁を撤廃して適用対象にすることについて、危機管理防災部長の御決意を承りたいと思います。
次に、埼玉県・市町村被災者安心支援制度についてお聞きします。
例えば大規模半壊と認定されれば、基礎支援金が50万円、補修による再建には100万円が加算されます。しかし、被災者生活再建支援法が建物本体の損壊、 建物の構造体力だけを支援対象にしているため、安心支援制度についても床上浸水だけでは支援対象外です。床上浸水すれば畳はだめになり、泥水につかった家 電製品や家具の多くも使い物にならなくなります。経済的損失は大きい。しかし、安心支援制度は全壊と大規模半壊、やむを得ず解体する半壊しか適用対象とし ていません。残念でなりません。
河川からの越水被害は少なくなりましたが、内水被害は増えています。県民の命と財産を守るのが県政の務めです。家財も財産です。家財対象の火災保険は古く からあります。内水被害家屋への支援に今後どう向き合い、県民の財産を守るのか、せめて半壊まで、さらに床上浸水まで対象にすべきです。
制度改正について、危機管理防災部長の御見解をお伺いします。
一方、川越市寺尾及びふじみ野市元福岡などの地区において、内水被害を二度と起こさないためには、内水を速やかに排除する仕組みを構築する必要があります。地元市においても内水を新河岸川に直接排水するポンプ等の設置を含め、関係機関と協議を進めると聞いています。
新河岸川を管理する県として、両市と連携して今後浸水被害対策にどう取り組むのか、こちらは県土整備部長から御答弁願います。
A 槍田義之   危機管理防災部長
台風21号の際、県では全力で被害状況の把握に努めるとともに、災害救助法の適用を検討する中で、隣接する複数市を1つの自治体とみなして適用できないか、念のため国に問い合わせをしました。
その答えは「災害救助法の適用はあくまで市町村単位。隣接も含めた複数の市町村での災害も考慮して都道府県を単位とした基準も設けている」とのことでした。
御質問の「自治体の壁を撤廃する」ためには、災害救助法施行令の改正が必要です。
近年、全国各地で毎年大きな水害が発生し、その対応に苦慮している状況です。
このような現状を踏まえ、災害救助法も含めた被災者支援の在り方について、まずは都道府県消防防災・危機管理部局長会などの場で議論してまいりたいと考えています。
次に、埼玉県・市町村被災者安心支援制度の適用対象の拡大についてでございます。
県では、昨年の台風9号による被害を受けて、支援対象を半壊や床上浸水にまで拡大できないか検討しました。
その際、制度を共同で運営している市町村にも意向を伺いましたが、見直しに賛成するところはわずかでしたので、昨年度は本制度の見直しは行わないとして市町村に説明し、了承を得たという経緯がございます。
しかし、毎年大きな水害に見舞われている本県の現状に鑑み、本制度の見直しについて改めて市町村の意向を伺いながら、検討してまいりたいと考えています。
A 西成秀幸   県土整備部長
本年10月の台風21号の被害を受け、11月に浸水被害軽減を図るため、河川を管理する県と下水道を管理する川越市、ふじみ野市で「河川・下水道事業調整協議会」を開催いたしました。
この協議会において、出水状況及び浸水被害の状況を共有するとともに、被害軽減に向けた対策の検討を開始したところです。
県では、まず、すぐにできる対応として排水ポンプ車の進入路となる新河岸川堤防の拡幅や舗装を行います。
また、江川都市下水路から新河岸川への排水がスムーズになるよう、新河岸川放水路の渋井水門の改修について検討してまいります。
今後とも、県では両市と連携し内水対策が効果的に進められるよう、河川整備に取り組んでまいります。
川越北環状線全線供用開始に向けた渋滞緩和策について
Q 福永信之議員(公明
川越北環状線は、30年度末の全線供用開始に向けて、落合橋の南から県道川越日高線に至る区間が4車線で整備されています。しかし、川越日高線から 16号に至る既設道路は2車線です。今でも渋滞しています。北環状が全線開通すれば既設道路区間の大渋滞は火を見るより明らかです。
全線供用開始してからでは遅い。どのような対策を今から立てるのか、県土整備部長の御見解をお示しください。
A 西成秀幸   県土整備部長
現在、川越市今成地内の約1.3キロメートルの区間において、東武東上線、JR川越線、県道川越日高線を連続で跨ぐ橋りょうの整備を平成30年度の開通に向けて進めております。
この区間の開通により環状道路として全線がつながることから、接続する既設の2車線道路については交通量の増加が見込まれます。
このため、県道川越日高線に至る右折レーンの新設や、国道16号との交差点において右折レーンの改良などの対策を関係機関と検討しております。
国道16号をはじめ周辺道路への交通影響を考慮した上で、開通に合わせて円滑な交通の確保を図ってまいります。
コンパクトシティを見据えた県営住宅の在り方について
Q 福永信之議員(公明
公明党県議団の4名は11月17日の夜、夕張市に入り、鈴木直道市長と約2時間意見交換してまいりました。春日部市生まれ、県立三郷高校卒業、埼玉 県民だった方です。市長給与は7割カット、年収は手取り約246万円、東京都庁職員時代よりも約200万円少ない。退職金は0です。それを承知の上で、都 職員を辞め、平成23年30歳で当選しました。
10年前に財政破綻したときに市役所の職員の給与は4割カット、53名いた幹部職員は5名を残し全員退職、転職可能な30代の職員も次々と退職、260名 だった職員は100名足らずになり、東京都などが職員を派遣、鈴木市長もその中の一人でした。真冬は室外はマイナス20度、室内でもマイナス5度になりま すが、市役所の暖房は5時に切れます。
市長に、どうやって職員のモチベーションを高めたのかをお聞きしました。すると「市民の生活を幸福度が増すよう改善する。それができれば、みんなの給与も 改善すると訴えたのです」というお答えでした。事実4割カットだった給与は、鈴木市長が就任してから31%カットに改善し、今は9%カットにまで改善して おります。ただ、市長の給与はそのまま据え置いています。
人口は最盛期の昭和35年に約11万6,000人、今は8,390人です。半数が高齢者、将来の日本の姿と重なります。6校あった小学校は1校に、3校 あった中学校も1校に、団体への補助金は全廃、公共施設は軒並み閉館。今後、高齢者が亡くなっていけば、2040年の人口は3,885人になります。
しかし、鈴木市長は、本年3月からリスタートを掲げ、財政再建と地域の再生を両立させる挑戦を開始しました。定住人口を増やし、人口を4,500人にする 目標を掲げています。標準財政規模の8倍の借金を返済しながら、でも企業を誘致し、民間賃貸住宅を増やして人口の社会増を果たし、廃校予定だった夕張高校 も存続、北海道では初めて小中高の一貫教育でマンツーマンの英会話授業も行っています。攻めの姿勢に感動しました。
最も印象に残った言葉は、「追い込まれると選択肢がなくなる。国に先駆けて政策展開を打っていくことが重要」という言葉でした。
さて、質問に入ります。まず、1、コンパクトシティを見据えた県営住宅の在り方についてお伺いします。
夕張市には人口1,000人当たり370戸の公営住宅があります。24あった炭鉱の入り口に次々と建った炭鉱住宅を閉山後、市が譲り受けたからです。いず れも市の中心部から離れています。夕張市は2040年を見据え、コンパクトシティ化を進めています。古い市営住宅を集約化、新しい市営住宅を建てていま す。私ども公明党の四人は、18日朝から約3時間市内を視察、目を覆わんばかりに老朽化した市営住宅を見た後、断熱構造の新しい市営住宅にも行きました。 閉校した小学校は郵便局や福祉施設として使われていました。
さて、全国一のスピードで高齢化の進む本県は、2040年に向かって全国一のスピードで人口減少に見舞われます。特に県北部の県営住宅は空室が増えます。 本県は、27年3月にまとめた県営住宅の在り方についての検討結果の中で、コンパクトシティを見据えた県営住宅の再編整備を打ち出していますが、その必要 性の高い郡部の県営住宅について、今後どう取り組んでいかれるのか、都市整備部長にお聞きします。

A 野川達哉   都市整備部長

県では、平成27年3月に、人口減少や少子高齢化を踏まえて、県営住宅の整備や維持・管理など将来に向けた住宅経営の指針となる「県営住宅のありかたについて」を策定いたしました。
これに基づき、将来的な世帯数の減少や効率的な団地経営といった観点を踏まえ、全県において県営住宅の集約化と廃止による再編整備に取り組んでおります。
この集約化や廃止をする団地の選定につきましては、コンパクトシティを見据え、まちづくりの主体である地元の市町村と協議を行ったうえで、進めているところでございます。
御質問の郡部における県営住宅につきましても、こうした考え方を基本といたしまして、お住まいの方の御意見を丁寧に聞きながら、再編整備に取り組んでまいります。

平成27年12月定例会 質疑質問・答弁全文を掲載しました。

平成27年12月定例会 質疑質問・答弁全文

福永信之(公明)

1 知事4期目のビジョンと新年度予算編成の方針(知事)
2 安全保障についての認識(知事)
3 圏央道インターチェンジ周辺の開発で埼玉県の飛躍的発展を(知事)
(1)「田園都市産業ゾーン基本方針」の「次の10年」は
(2)圏央道インターチェンジ周辺開発について
4 「埼玉版政労使会議」の開催時期と議題について(知事)
5 建設業の育成について(岩崎副知事、公営企業管理者)
6 #7000の時間延長について(知事、保健医療部長)
7 「自転車王国埼玉として、保険加入NO.1」を目指せ(知事、県民生活部長))
8 介護について(知事、福祉部長)
9 JR川越線の複線化について(企画財政部長)

平成27年12月定例会 少子・高齢福祉社会対策特別委員会の概要

平成27年12月定例会 少子・高齢福祉社会対策特別委員会の概要
福永委員
1 平成25年度に知事出席の下開始された介護職員合同入職式について、参加者の実績はどうなっているのか。また、平成26年度、平成27年度も知事は出席しているのか。
2 モデル給与表について、県が所管する特別養護老人ホーム及び介護老人保健施設の約9割が導入しているとのことだが、導入していないところの状況はどうなっているのか。
3 介護職員永年勤続表彰について、3年、5年を対象にしているのか。また、事業所独自に表彰しているような場合、県から補助をしているのか。
4 高齢者に関する相談の第一報は民生委員に入ることが多いが、民生委員から地域包括支援センターに電話をすると、対応できないと言われることもあると聞いている。地域包括支援センターと民生委員との連携はどのように行っているのか。
5 介護人材の確保・定着に向けて、もっと予算を投入するべきではないか。健康長寿埼 玉プロジェクトに多額の費用をかけるのであれば、その分を介護人材の確保・定着のために使った方がよいのではないのか。
高齢者福祉課長
1 介護職員合同入職式については、平成25年度は初回ということもあり、入職2年目、 3年目の職員も対象とし、約800人が参加した。平成26年度、平成27年度については入職1年目の職員約400人が参加した。なお、3回とも知事が出席し、代表の方 に激励のメッセージカードを交付している。
2 モデル給与表を導入していない事業所には、既にモデル給与表と同等以上の給与水準 を確保しているところもあれば、経営状況によりそこまでの給与水準を確保できないところもあると認識している。
3 永年勤続表彰についての補助は行っていない。10年又は20年と長きにわたり勤続 した介護職員を、知事名で表彰させていただくことが、モチベーションアップにつながると認識している。
5 介護人材の確保・定着のために、もっと予算を投入すべきという委員の御意見には全 く同感であるが、介護の社会化を目指して介護保険制度が始まったことをよく考える必 要がある。平成25年時点での本県介護職員が約7万1千人と申し上げたが、常勤換算すると概ね5万5千人となり、仮に給与として毎月1万円支出した場合、年間約70億 円の費用を要する。これは一自治体で負担できる額ではなく、やはり国においてしっかり対応すべき問題だと思う。県では、介護保険料等に影響する介護報酬とは別に、例えば交付金などによって、国がしっかり対応するよう強く要望している。
地域包括ケア課長
4 地域包括支援センターは、適切に対応していると信じている。また、地域包括支援センター運営協議会の委員には、民生委員が入っている。このほか個別ケースの検討では、 地域包括支援センターと民生委員が連携しながら関係機関へつないでいるケースもある。民生委員と地域包括支援センターとの連携は図られていると認識している。
健康長寿課副課長
5 健康長寿埼玉モデルには、今年度、20の市町から約4,800人が取り組んでいる。 そのうち約7割が60歳、70歳代であり、多くの高齢者が参加している。1億4,700万円の補助をしているが、健康長寿埼玉プロジェクトは県民の生涯にわたる健康づ くりに資する事業であり、御理解をいただきたい。

平成27年12月定例会 文教委員会の概要

【所管事務調査(教育の政治的中立の確保について)】 福永委員
【所管事務調査(教育の政治的中立の確保について)】 福永委員
今月の初めに、県東部の市立中学校の教員が、担任を務めるクラスの生徒全員に、「教育 の政治的中立」を揺るがす極めて問題の多い文書を配布した。12月2日付けの「赤旗」 15面掲載の記事を使用しているが、「赤旗」は、日本共産党の機関紙である。教育基本法の第14条第2項には、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」と定めており、義務教育の公立学校 の教員が、特定政党だけの機関紙の記事を生徒全員に配ることは、法律に反する行為である。
このような行為は今回が初めてのことではない。2学期が始まる9月には、8月30日 付けの「赤旗」の号外が貼り付けられた文書を配布している。
来年の参議院選挙から18歳選挙権が実施されることを踏まえて、教員がとりわけ政治的中立性に気を配らなくてはならない時期に、この中学校の担任のようなことがまかり通ってはいけないと思うので、何点かご質問させていただく。
1 教育局は2度にわたるこの事案について把握しているのか。
2 「赤旗」は希望すれば一般の国民でも購読することができるが、「号外」は、特定の場 所に行って共産党関係者から受け取る、あるいは、身近な共産党関係者からもらうしか入手手段がないが、教員が、どういう手段で入手したのか把握しているのか。
3 この担任が受け持つクラス全員に対して、教室でこのような「赤旗」の切り抜きとその記事を賛美する感想を配るという行為はあってはならないことであると思うが、教育局はどう考えるか。
4 1度目の9月に配った時に、教育局としてきちんと対処していれば、今回の文書が生徒の手元に届くことはなかったはずである。どうして防げなかったのか。見過ごしていたのか。
5 今回は中学校であるが、来年有権者となりうる県立高校や特別支援学校高等部でこのような教育が行われると、教育の政治的中立性が確保されないことになるので懸念している。日本共産党の小池氏は、「文部科学省などが作成した主権者教育の高校生向け副教材でも政治的中立の確保に留意するよう強調している。規制をかけようとしていることは反教育だ」と発言している。義務教育諸学校については、教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法があり、影響を受けないように教員の中立性が担保される法律があるが、高校にはこの法律がない。高校の教育現場でもこのようなことが行われてはいけないと思うが、防ぐことができるのか。
義務教育指導課長
1 当該事案については、昨日、市教育委員会から報告を受けたところである。この2つの資料は、平日の「帰りの会」で子供たちが作成したものを発表し合う3分間スピーチという活動の中で、教員が自分も同じような立場で作って示したものである。これまでの経緯について、市教育委員会からの報告によると、9月に市教育委員会として把握し、 当該中学校の校長に対して事実確認し、当該教員に対して指導するように指示をしている。2度目についても市教育委員会で、現在詳細を調査しているという報告を受けている。
2 教員が赤旗の号外をどのように入手したのかを把握しているかについては、承知していない。
3 本件は詳細が判明しておらず、明確にお答えできないところがある。いろいろな考え方が世の中にあるが、何か一つのところだけを示して教員が一方的な考え方を述べたことは当然適切とは言えない。
4 教育局では昨日、概要の報告を受けたものであり、そもそも承知していなかった。市教育委員会としては、かなり重く受け止めており、今後適切に対応していくと聞いている。
高校教育指導課長
5 県立高校では校長が授業観察したり、あるいは保護者・生徒に授業アンケートを行うなど、制限を超えた政治的行為をする教員の把握に努めており、本件のようなことは県立高校ではないと言える。これまでも指導資料などにより、新聞記事等を活用する際の配慮事項や、特定の考え方に偏らない中立公正な立場での指導などの徹底を図っているが、今後も引き続き、校長会議、あるいは教科の研修会等を通じて政治的中立性についてしっかりと指導していく。
特別支援教育課長
5 特別支援学校の生徒については、障害により物事の見方・考え方が狭くなってしまうということがある。これまでも日頃から、校長も含め職員には情報をいろいろな角度から提示していくことが大事だと言っている。これまでもなかったと思うが、今後も、そういったことを大事にしながら障害のある子供たちの可能性を最大限に引き出すよう努めていく。
福永委員
1 平日の帰りの時間に生徒が3分間スピーチを行うことが初めて分かったが、教員も問題の文書を配って発表したのか。県教育委員会は把握しているのか。これは重大な問題である。中学2年生といえば政治的には真っ白な心であるにもかかわらず、そこに特定の色を染め上げるようなものを配り、言ってはいけない教員自身の意見を言っている。 事実関係をもっときちんと把握して、改めて委員会に示していただきたい。
2 9月に市教委を通じて校長が指摘を受け、担任を指導したにもかかわらず、聞かなかったということは、担任の教員は確信犯的な思いを持っているということである。教員に対して、教育基本法の第14条の第2項の精神などをもう一度きちんと教えないと今後また同じことを繰り返すのではないか。繰り返させないことができるのか。
3 政党機関紙における日刊紙は、赤旗と公明新聞しかない。併記するにしてもこれらは不適当だと思う。きちんとした一般紙だけにしたらどうか。
4 生徒の心に与えた影響について、どのように把握しているのか。
義務教育指導課長
1 先ほども申し上げたとおり、詳細について把握していないので、しっかりと把握した い。
2 先ほども申し上げたとおり、詳細について把握していないので、しっかりと把握した い。
3 一般紙の扱い等について、最近国が高校に対して示した資料が出されたので、それを義務教育段階でもしっかりと子供たちに分かるように、また、指導する教員がしっかりと把握できるように、この後早急に指導・助言したい。
4 私どもも子供たちがどう受け止めたのか、子供たちへの影響を心配している。今後しっかりと把握したい。
福永委員
6月定例会の本会議で、「特定の政治イデオロギーを生徒に植え付けるような教師をどのように排除していくのか」との諸井委員の一般質問に対し、教育長は「教育の政治的行為 については、教育基本法をはじめ、法令により厳しく制限されており、特定のイデオロギ ーに偏った政治教育を行うことは許されない」と答弁している。これが6月のことであり、 9月にこの問題が起きて、12月に再発していることは重く受け止めなければいけない。 政党機関紙を排除すべきだと考えるが、教育長から断固たる決意を御答弁いただきたい。
教育長
6月定例会の本会議で答弁したとおり、偏った政治教育を行うことは断じて許されない。 そのようなことがないようしっかりと教職員に周知し、日頃から授業やアンケートを見るとともに、偏った政治教育をしたことが発覚した場合は厳正に対処するようにしっかりと取り組んでいく。
鈴木委員
1 義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法の第1条に「義 務教育諸学校における教育を党派的勢力の不当な影響又は支配から守り、もつて義務教育の政治的中立を確保するとともに、これに従事する教育職員の自主性を擁護することを目的とする」とある。明らかに政党色のあるものを学校で取り上げて、それを教員が 3分間スピーチで言えば、素直な子供たちはそれが正しいと思ってしまう。これは価値観の押し付けである。私もこのような教育を受け、それ以来教員不信となっている。思春期のころの思想の押し付けというのは、子供の心に深い影響を与える。政党機関紙はあくまで政党の主義・主張であり、明らかに第1条に違反している。なぜ排除できないのか。
2 私の経験のとおり、数十年前から日常的にこのようなことが行われている。問題が発生するたびに指導してまいりますという答弁を続けてきたが、どのような指導を行っているのか。詳細を調査した結果、どのような指導や処分がなされるのか。指導しても改善されなかった場合、指導内容を変えていくのか。
義務教育指導課長
1 政党機関紙に限らず、偏ったイデオロギーを押し付けるようなものはやはり排除すべ きと思う。
2 指導は、できるだけ具体的に事例を挙げて指導していきたい。プライバシーに配慮しながら、教員が理解でき、注意できるという指導をしていきたい。子供たちにとって教員が言っていることはある意味絶対に近いものがある。それは痛いほど教員が分かっている。具体的な事例を投げ掛けて、一人一人が自分のこととして受け止めてもらえるように指導していきたい。
小中学校人事課長
2 今回の事案については、これまで校長が当該教員に指導した内容も含め、事実関係をしっかりと把握したい。なお、処分を県が行うか、服務監督権者の市町村が行うかについては非常に判断の難しい問題であるため、法律の専門家等の意見や判例等を含め、慎重に判断し適正に対応する。
鈴木委員
答弁を聞いて、当該教員は確信犯という印象をもった。政治的中立というものが、今こそ大事だと言われている中、今回の事案をあまり重く受け止めている感じがしない。仮に一方的な押し付けだという調査結果が出た場合、指導以外の処分はあるのか。
小中学校人事課長
指導以外の処分について、この場で判断してお答えするのは大変難しい問題である。事件や事故が発生したときに、指導以外の処分としては、第一義的に服務の監督をしている市町村教育委員会で文書訓告や口頭注意等、いわゆる指導措置がある。なお、法令等の違反も含めて市町村教育委員会から正式な事故報告があり、内申があった場合には、県が事故として判断して、懲戒処分等の対応を行う。全体的なことも含めて、これからしっかりと事実確認をしていきたい。
鈴木委員
処分に関しては理解した。政党機関紙を教室に持ち込むということが問題であると考える。一般的な日刊紙の記事を比べることはあってもいいと思うが、政党機関紙に政治的中立はあり得ないと考えるがいかがか。
義務教育指導課長
子供たちに特定の考えを押し付ける結果となるようなものは許されないと考えるが、政党機関紙だけを排除するという表現はしづらい。子供たちが一方的な価値観をもってしまう指導は当然問題があると考えている。
鈴木委員
このようなあいまいな答弁を聞くと、子供を持っている親として心配である。福永委員の発言にもあったが、共産党の小池副委員長は「授業で言わなくては」と発言している。 自分たちに都合の良いことは授業でどんどん言うようにあおり、一方の意見だけ取り上げることは、政治的中立とは到底言えない。今後しっかりと精査してほしい。(意見)
諸井委員
1 今のやり取りを聞いても、改善されるように思えない。本件は特定の思想を紹介している事例ではないのか。
2 9月と12月に出した2つの文書以外はあるのか。このような指導は日常的に子供たちになされており、たまたま文書があったのが2つだけだったのではないのか。他の事案について把握しているのか。
3 文書が発覚したことから今回の問題となっているが、文書を用いず、口頭で子供たちを指導している場合、どのように防止するのか。
義務教育指導課長
1 文書だけを見ていると、特定の思想を紹介していると受け止めることもあるかと思う。 当該教員がどのように指導したのか、当該の市教育委員会が調査しているところであるので、それに基づいて判断することになる。
2 当該教員が日ごろどのようなことをしているのか、あるいは今回だけであるのか、調 査しているところである。
3 日常の指導について、当該教員の言動を四六時中把握できるかどうかは正直申し上げられない。周りの教職員や同僚が自由に意見を言える雰囲気をつくらなければならない。 閉ざされた教室の出来事については、徹底的に指導していくしかないと考えている。
諸井委員
答弁を伺ったが、聞いて理解できる答弁ではない。責任を取りたくないとか、はっきりとしたことを言いたくないという姿勢だけは分かる。子供たちに一方的な考えだけを紹介することが問題であるにもかかわらず、排除するとなぜ言えないのか。法令に照らしても適切でないことであるのに、なぜあいまいな言い方しかできないのか。
当該教員の他の事案の把握は難しいとのことだが、把握できないから仕方がないのか。 教育局に責任はないのか。
義務教育指導課長
責任がないわけではなく、義務教育指導課長としての責任を痛感している。一方的な教員の考えを押し付ける教育はあってはならない。そのため防止策をいろいろ講じながら徹底していきたい。他の事案について100%把握するのは困難だが、日ごろの状況について管理職をはじめ、きちんと把握し指導していく。教員は、公平であり中立でなければならない。これを繰り返し徹底し、指導を強化していきたい。
諸井委員
発言とこれからやろうとしていることがあまり合致していない。何も担保されない。御自身の決意をあいまいに言っているだけであり、具体的内容が全くない。教育委員会委員長はどう感じているのか。
教育委員会委員長
本件については昨日情報を知り得たものであり、情報の遅さについては大変遺憾である。 現場においては速やかに重大さを認識し、直ちに県の教育局に情報提供してしかるべきで ある。本件については、詳細な情報がつかめていない。しかし、私はあってはならないことだと感じている。処分を含め、教育局で議論して進めたい。今後このような指導を発見した場合は、根本的に全部を考え直さなければいけないと感じている。来年の参議院選挙から選挙権年齢が引下げとなることもあり、今回の事案を精査して、主権者教育にどうやって臨むのか、もう一度考えていきたい。
諸井委員
このような教育がこれからも続く、あるいは分からないところでこれまで通り続いていくことが問題と考える。今回の事案をきちんと調査し、現状をよく踏まえた上で根本的な防止策を講じられたい。そして、何回指導しても変わらない教員は、埼玉県の教育に著しくマイナスの影響を及ぼすため、教壇に立つ資格はないと思う。そのような教員は活動家になり、そこで自由に政治活動をしてもらえば良い。(意見)
村岡委員
今回の事案については、事実をしっかりと確認してほしい。政治的中立は当然のことである。これ以上、このことについてコメントしないが、論議の中で、私どもの党の副委員長の小池氏の教育に関する発言が取り上げられたが、それと今回の事案は直接関連があるわけではないので、誤解のないようにしてもらいたいということだけは発言をしておく。 それぞれの政党のそれぞれの議員が考えを持っており、ここはそれを論議する場ではない。 (意見)
菅原委員
今回の事案は、氷山の一角ではないのか。来年の参議院選挙に向け、国から教育の中立性を判断すべき材料が示されると思うが、逆に悪意を持って指導する教員もいるかもしれない。このような事態が想定される中、指導の事例を積み上げて分析をされているのか。 今後、判断に迷う事例が続発したときに役立つと思うがいかがか。
義務教育指導課長
県教育委員会として、これまでの積み上げは行っていない。ただし、高校に今回示された貴重な資料にQ&Aが載っている。中学校にも示して、市町村との間で共通理解を図っていきたい。現場の声等についても研究協議会等で話題にしたい。来年は新しい学習指導要領の方向性が明確になるので、それも踏まえてできることをしっかりとやっていきたい。
菅原委員
今後、事例の積み上げを行うのか。
義務教育指導課長
積み上げていきたい。

27.12.16 埼玉県議会文教常任委員会での福永質問

教育の政治的中立の確保に関して、質問します。
実は、今月初めに、県東部の市立中学校の教師が、自分が担任を務める2年生のクラスの生徒全員に、「教育の政治的中立」を揺るがす極めて問題の多い文書を配布しました。
これです。
「今日の気になるニュース」というタイトルです。
日ごろは生徒が作成しているものですが、
 
この文書は、
担任の先生がその【号外】として、
① 12月2日付け「しんぶん赤旗」15面掲載の記事を貼り付け
② その下に、ご自分の感想を書いたものです。
これを自分が担任するクラスの生徒全員に教室で配りました。
 
「しんぶん赤旗」は、日本共産党の機関紙です。
教育基本法第8条第2項は、「学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」と定めています。義務教育の公立学校の教師が、特定政党だけの機関紙の記事を、生徒全員に配ることは、法律の禁じているところであります。
 
その記事は「赤旗」12月2日15面に掲載された記事です。
大きな見出しだけ読み上げます。
「マイナンバーは違憲」「5地裁 弁護士ら一斉提訴」「漏えいの恐れ プライバシー権侵害」
こういう見出しの記事です。
教師の感想は
「そもそも、国民に背番号を振るということからして、国家による管理・統制、つまりは昔歩んだ道への後戻りを感じさせます」と書き始め、
「『マイナンバーは不要』」と結んでいます。
 
先月から、マイナンバーの通知表が郵送され、生徒のご家庭にも届いている最中の配布でした。
 
これを手にした生徒が「マイナンバーは違憲なの? 不要なの?」と保護者に質問し、読んだ保護者が「マイナンバーは、『昔歩んだ道』、つまり戦争への後戻り。だから不要だ」と決めつける記述に、驚いたことから、私の手元に、届きました。
 
しかも、あきれたことに、「赤旗」の記事と、記事内容をほめたたえる感想文の文書を、この教師が配布したのは、今回が初めてではなかったのです。
2学期の最初にも、配っていました。そちらも届きました。
 
見出しを読みますと、
① 「戦争法案阻止」「これは戦争へつながる法案」「若者 全国で決起」という見出しの8月30日付け「赤旗」【号外】を貼り付け
② 「若者たちが、こうした考えを持ち、何よりも強い行動を起こしていること。そこに私は救いを感じます」という、担任の感想で締めくくっています。まるで、受け持つクラスの生徒にも、戦争法案反対へ決起せよと呼びかけるような趣旨の担任の感想です。
 
これはあってはならない「教育の政治的中立」を揺るがす重大な事態です。
 
明年の参議院選挙から18歳選挙権が実施される予定であることを踏まえれば、教師は、とりわけ「政治的中立性」に気を配らなければなりません。
この中学校の担任のようなことが、県立高校で来年、まかり通ればどうなりますか。絶対、許されない。
その意味で、何点か、ご質問いたします。
 
1点目は、県教育局は、2度にわたる事案について把握していますか。把握なさっているのであれば、事実関係について、ご答弁をお願いします。
 
2点目は、「赤旗」は共産党員でなくても購読できる機関紙ですが、「赤旗」【号外】は、特定の場所に行って受け取るか、特定の、つまり日本共産党、赤旗関係者などからしか受け取ることができません。この担任教師は、両方の記事を手にすることができました。8月30日付け「赤旗」【号外】と12月2日付け「赤旗」の入手ルートをご存知ですか、お答えください。
 
3点目は、担任が受け持つクラスの生徒全員に「赤旗」の切り抜きだけとその記事を賛美する感想を記した文書を配布する行為は、絶対、あってはならないことです。県教育局は、この行為をどうお考えになりますか。
 
4点目に、この担任が9月に赤旗と自分の感想を生徒全員に配布した時に、きちんと対処なさっていれば、日本国が国民に周知しようとしているマイナンバーについて、「戦争への後戻り」などと書いた文書が、中学生の手元にいくことは防げたはずです。2学期最初の配布行為を見過ごしていたのですか。
また、1回、注意したが、この担任が聞き入れなかったということであれば、ある意味、この担任は確信犯的というか、校長の注意に耳を貸さない人物だということになります。このあたりをどうつかんでいますか。
 
5点目として、県立高校は、まさに有権者のいる学校です。そこでこんな教育が行われれば、こんな教師がいれば、許されません。県立高校や特別支援学校高等部でまさかこんな教育は行われていないでしょうね。文科省などの作成した主権者教育高校生向け副教材の中でも、政治的中立の確保に留意するよう強調されています。
しかし、そのことについて「赤旗」の発行母体である日本共産党の政策委員長は「規制をかけようとしていることは、反教育だ」と発言しています。
「義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法」は、第1条で、「義務教育諸学校における教育を党派的勢力の不当な影響又は支配から守り、もって義務教育の政治的中立を確保するとともに」などと、法律の目的が掲げています。このような「党派的勢力の不当な影響又は支配」が及ばないか懸念するのですが、高校教育についても、政治的中立をどう確保するのか、お答えください。
 
 
<この後、答弁がありましたが、到底、納得できる内容ではなかったので再質問しました>
「帰りの時間に3分間かけて生徒が作ったニュースを配り説明する。その中で担任が2回作った」
先ほどのご答弁には、生徒の心がどう揺れ動いたかについて、全く言及されませんでした。中学2年生といえば、まだ、政治的には真っ白な心です。
その中学2年生の真っ白な心へ、「赤旗」に掲載された日本共産党の考え方を、染み込ませようとした。
保護者がそう考えるのも当然の行為です。
一度ならず、二度も「赤旗」の切り抜き記事と、その記事を賛美する担任の先生の感想の書かれた文書が、生徒全員に配られた。生徒の心はどう揺れ動いたのでしょうか。お答えください。
 
 
次に、両方の意見を併記することが大事だとのご答弁でしたが、配ったのは「赤旗」です。政党の日刊紙は「赤旗」と「公明新聞」しかない。自民党や民主党は日刊紙を発行していません。読売新聞とか朝日、毎日、産経、東京新聞を配って比べるのであればいざ知らず「赤旗」を配ったなんて言語道断です。再度、ご答弁願います。
<1>                最後に、「義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法」いわゆる中確法という法律があります。この法律に照らしての別角度から数点、ご質問いたします。
 
第1条には、「義務教育諸学校における教育を党派的勢力の不当な影響又は支配から守り、もって義務教育の政治的中立を確保するとともに」などと、法律の目的が掲げられています。
「党派的勢力の不当な影響又は支配から守る」という、この法律の目的を阻害する動きがあるのではないかという観点からお尋ねします。
 
・政調会長とか政策委員長となれば、その政党の政策の最高責任者です。「赤旗」は日本共産党の機関紙であり、日本共産党の政策委員長といえば、小池晃氏です。その小池氏は、産経新聞12日付けによれば=学校現場での主権者教育に関し、「憲法を守ろうとか、安全保障法制は反対、問題ありますよねということを先生が言わなくっちゃあ、教育になんない」というのが持論です。「教育現場で話せ」といっているわけです。
 さらに小池氏は、主権者教育での政治的中立性について「こういう問題で中立があり得るのか。先生が堂々と自分の考え、信じていることを言って、それを生徒がどう受け止めるかということが教育だ」。つまり、マイナンバーや安全保障法制には反対だという教師の考えを、生徒にぶつけろと言っています。
 
・これが日本共産党の政策最高責任者の持論です。この持論に従う形の教師が出てしまった。今回の担任が、この持論に、あらがうことができず、「赤旗」と自分の感想を記した文書の配布をしたのであれば、「不当な影響」が及んだことになり、重大問題です。中確法第1条の趣旨に照らせば、教師の政治的中立を確保するための防波堤に県教育局がなれなかったということです。
 
・そうでないのであれば、この担任は教育基本法第8条第2項の「学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」という規定を自ら踏みにじったということです。
 
・一方、全日本教職員組合、全教のホームページを見ると、6.22国会前連続座り込みを報じた記事の中に、こんなくだりがあります=「戦争法案」廃案をめざすとりくみを地域・職場で強めています=と書いています。また、7.22の記事は=「ねぇ、先生、僕たち戦争に行かなくちゃいけないの?」子どもたちが、不安な眼で問いかけてきます。全教は、憲法原則を踏みにじる「戦争法制」に、「教え子を再び戦場に送るな!」をスローガンとして掲げ続けてきた教職員組合として、断固として反対します=と書いています。
 
・本県教職員の中にも全教の組合員はいます。それは自由ですし、この担任が組合に入ることも自由ですから、この場ではお聞きしません。しかし、全教がつまり学校で「戦争法案」廃案をめざすとりくみを地域・職場で強めた結果、その影響を受け、二度にわたる文書配布につながったのではないかと思ったりします。
 
・いうまでもなく全教の集会に招かれる政治家は、日本共産党だけです。
 
以上を踏まえて、この担任がこうした日本共産党の政策最高責任者の持論に沿う形で生徒に呼びかける行動をとったのか。
あるいは、全教の取り組みに従ったのか。
ということについて、何か把握していることがあれば、ご答弁願います。
 
 
次に、中確法は
第三条  何人も、教育を利用し、特定の政党その他の政治的団体(以下「特定の政党等」という。)の政治的勢力の伸長又は減退に資する目的をもつて、学校教育法 に規定する学校の職員を主たる構成員とする団体(その団体を主たる構成員とする団体を含む。)の組織又は活動を利用し、義務教育諸学校に勤務する教育職員に対し、これらの者が、義務教育諸学校の児童又は生徒に対して、特定の政党等を支持させ、又はこれに反対させる教育を行うことを教唆し、又はせん動してはならない。
(罰則)
第四条  前条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
 
 
再質問
ご答弁ありがとうございました。何点か再質問いたします。
 
① まだ、詳細を把握なさっていないことは、分かりました。逆にいえば、詳細を把握していないことが鮮明になったということです。ということは、この事案の詳細が判明じた段階において、委員にお知らせいただけますか。まず、この点を確認させてください。
② 赤旗の切り抜きを配布してはならないということは、ご答弁で分かりました。となると、今回の事案について当該担任は、どういう処分を下すことを予定されていますか。「あってはならないこと」をしでかした教師です。文部科学省の教育基本法についてのHP記載の大臣答弁を引用すれば「断じてこれを許容することはできない」「この点は強硬な態度をもって臨みたい」とあります。方針が明示できるのであれば、お答えください。
③ 三点目は、ご答弁には、生徒に与えた影響についてのご説明がありませんでした。判明していることがあれば、ご答弁願います。
④ 四点目でとして、学校長が9月に一度、注意しておきながらも、この教師は聞く耳をもたず、12月に再び行為に及んだということですね。ということは、その注意の仕方が甘すぎたのではないか。県教育局に報告は届いていたのですか。届いていたが口頭注意ですませたということですか。私は、最初から厳たる処分をくだしていれば、二度目はなかったのではないかと推察しますが、なにかおっしゃりたいことはございますか。そして、三度目を防ぐためには、今回こそ、厳しく臨むべきと考えますが、いかがですか。
 
再々質問
最後に教育長、本年6月定例会における自民党の諸井県議の一般質問を思い出してください。
「特定の政治イデオロギーを生徒に植え付けるような教師をどのように排除していくのか」という自民党の諸井県議の一般質問に対して、教育長は「教員の政治的行為については、教育基本法をはじめ、法令により厳しく制限されており、特定のイデオロギーに偏った政治教育を行うことは許されません」と答弁なさっているのですよ。その後に、惹起した事案であることが残念でなりません。
教育長から再度、「特定の政治イデオロギーを生徒に植え付けるような教師をどのように排除していくのか」について、ご答弁を求めます。
 
 
<2>そして、
6・22国会前連続座り込み6日目2015/09/07
「『戦争する国』ではなく、憲法9条をいかし、『平和を広げる国』を子どもたちに手渡したい 「教職員の意思表示」に全国から5746名の賛同の声-全国教職員投票(8月末日まとめ)を発表
 全教、教組共闘連絡会、全国高校組織懇談会は、「戦争法案」廃案をめざすとりくみを地域・職場で強めています。
【資料】2015/07/15
全教「戦争法案」反対チラシ・教職員投票
「ねぇ、先生、僕たち戦争に行かなくちゃいけないの?」子どもたちが、不安な眼で問いかけてきます。全教は、憲法原則を踏みにじる「戦争法制」に、「教え子を再び戦場に送るな!」をスローガンとして掲げ続けてきた教職員組合として、断固として反対します。

12月9日に行われた、一般質問原稿をアップしました。

知事4期目のビジョンと新年度予算編成の方針
まず、知事4期目のビジョンと新年度予算編成の方針についてご質問いたします。
見渡せば、土屋県政と上田県政の両方を経験した県議は少なくなりました。畑県政まで遡れば、野本県議お一人です。
柿沼県議は土屋県政では環境防災部長でしたね。
私は、平成4年から始まった土屋県政の3年目に初当選しました。
新都心やさいたを誘致し、スーパーアリーナやさいたまスタジアム建設など「ださいたま」を払拭し、将来に誇れる事業が次々と成し遂げられました。
スタジアム建設前、朝日新聞が平成8年7月9日に掲載した県議全員へのアンケート結果で「6万人規模がいい」と回答した議員数の最も多かった会派は公明党でした。私もこの場で20分以上にわたって、「6万人規模」を建設すべきだと主張しました。
平成11年の知事選では、日本共産党推薦の対抗馬が建設中のアリーナの写真を掲載し「ゼネコン奉仕の大型開発優先」だと強く批判するチラシをばらまきました。
「無駄遣い見学ツアー」と称してアリーナ、スタジアム建設現場を見学したこの党の市議団もありました。
でも完成後、日本共産党はスーパーアリーナで集会を、ちゃっかり連続して開きました。
国道17号バイパスの上には首都高が走り、県道交差点には右折レーンが飛躍的に増え右折渋滞が激減しました。
数百人規模の警察官の大幅増員も県議会と一体となって土屋県政の平成13年度から始まり、上田県政の19年度まで7年連続で実現。
団塊の世代の県職員が大量退職する2007年を見据えた職員数の削減、「中学校に一番いい部屋を」との号令のもとつくられた「さわやか相談室」「さわやか相談員」の配置なども画期的な仕事でした。
100点満点の政治家なんて、この世にいません。
しかし、「残した仕事」は歴史に刻まれます。
 
上田県知事は初当選後、スピード感あふれた施策展開、「成果の見える化」「選択と集中」など、次々と「新鮮な風」を巻き起こしました。八ッ場ダム建設中止の時に、たとえ古巣の決定であろうと悪いことは悪いと反駁するお姿には感服しました。
 
さまざまな経緯がありましたが、知事は4選を果たされました。
応援なさった皆さんは、県が大きく飛躍する施策をいつ繰り出すのか、固唾をのんで待っていると思います。
しかし、9月定例会、そして今定例会。
「おー」と声をあげたくなるような議案や補正予算は、ありません。政府が組まないから仕方ないよと言う弁明が聞こえてきそうですが。
県民は、埼玉らしい施策、この4年間に完成しなくても上田知事が埼玉の飛躍的発展に道筋をつけたといわれる施策、夢のある施策を待っているのではないでしょうか。
例えば、畑県政時代にできた水上公園はかれこれ40年になります。9月定例会で石渡県議は、上尾の水上公園について「ちょっと、おしゃれな・埼玉セントラルパーク」にするよう取り上げましたが、川越や越谷の水上公園だって、「プールに行くなら埼玉。泳げない人も一日、楽しめるよ」といわれるよう多彩な要素を取り入れて完全にリニューアルするとか、ですね。
観光面では、圏央道の川島インターあたりにETCで入れて、一般道からも入れるアグリパークとフラワーパークをつくるとか。花を楽しみ、新鮮な農産物を埼玉中から集めて買い物ができて、県産食材を使った食事もとれる場所ですね。そんな夢がほしいと思います。
平成24年まで海外からの観光客は800万人台が5年くらい続き、「夢の1000万人」と言われていました。でも、この3年間で大幅に増え、今年は2000万人に迫っています。
爆買いは新語・流行語大賞に選ばれました。
1週間前、前国土交通大臣である太田昭宏氏と懇談した折に、こんな話をうかがいました。
観光は「見る」「食べる」「買い物ができる」ことが大事だと。
私は、埼玉県がこのウエーブから取り残されていると思います。
「県の信用」をバックにした婚活も、着手した部分は成果を上げていますが、先進県である茨城県に比べると、見劣りします。
埼玉県の「結婚支援事業 情報提供」の FACEBOOK に掲載された個別の投稿についてのいいね、は今日の午前0時半現在2件、15件、4件などです。寒すぎます。
知事は今、埼玉の未来に向けた発展にどんなビジョン、夢を描いていらっしゃいますか。ご答弁ください。
あわせて新年度予算にはどんな施策を盛りこむご決意なのか、ご答弁を願います。
 
ところで、選挙戦で上田知事は「赤旗」にはこっぴどく批判されましたね。
読みますと、
~現職の上田候補は「警察官を全国一増員」「企業誘致全国一」などを誇ってみせますが、人口あたりの医師数や福祉施設数が全国最低水準など、医療、福祉、教育が遅れている実態には口をつぐんでいます~
いかがですか。
口をつぐむと言われましたことについてのご所見を承りたいと存じます。
安全保障についての認識
続いて、知事の安全保障についての認識をお尋ねします。
6月定例会では日本共産党の秋山議員が「戦争法案」という言葉を乱発なさいました。
私は「戦争法案」なんて法案は、そもそも存在しなかったと考えます
成立したのは、平和安全法制。我が国が武力攻撃を受けることを抑止するための「戦争防止法」です。
なぜ「戦争法案」と言うのか。日本共産党の志位委員長の11月7日のテレビ東京番組における発言を報道した産経新聞の記事がヒントを与えてくれました。
前半では、核・ミサイル開発を進める北朝鮮について「リアルの危険があるのではない」と発言なさっています。
7発の核弾頭、700発ともいわれる弾道ミサイルを持つ北朝鮮は「リアルな危険」そのものです。それに備えるための法律ですが、リアルな危険がないと思うから「戦争法案」と言い続けるのでしょう。
中国についても同趣旨の発言が掲載されていましたが、こちらは今も、さまざまな努力が積み重ねられている最中ですから、ふれません。
後半では「実際の危険は、中東・アフリカにまで自衛隊が出て行き一緒に戦争をやることだ」と述べたとありました。
政府首脳は、中東・アフリカどころか、はるかに日本に近い南シナ海にすら自衛隊を派遣するつもりはないと言い切っています。でも、「一緒に戦争をしに行くことが、実際の危険だ」とテレビで平気でおっしゃる。
そこで、知事にお尋ねします。知事は北朝鮮のリアルな危険性について、どう認識なさっていますか。
次に、知事は、自衛隊が「一緒に戦争する」目的で「中東・アフリカにまで」派遣されるとお考えでしょうか。
 
最後に、先に赤旗の記事には「教え子を再び戦場に送らない」と書かれた横断幕がかかげられ、「集団的自衛権を容認し憲法改悪を主張する現職」と書かれていました。
知事は「戦争をするための法律」だと考えていらっしゃいますか。ご見解をお示しください。
圏央道インターチェンジ周辺の開発で、埼玉県の飛躍的発展を
続いて、圏央道インターチェンジ周辺の開発で、埼玉県の飛躍的発展を、について、質問いたします。
まず、
「田園都市産業ゾーン基本方針」の「次の10年」は、についてです。
圏央道は当初計画よりも3年半遅れたものの10月31日に県内全線が開通。残る茨城県内が開通し成田までつながれば、まさに、埼玉大飛躍のチャンスです。
本県への企業進出は進みました。この流れを拡大することが大事です。
先に懇談した時に、太田前大臣は
「埼玉は、右手に湘南、左手に成田を握って進める」「発展のチャンスをつかみ取ってほしい」とおっしゃっていました。
本県は「田園都市産業ゾーン基本方針」を平成18年に策定、10年かけて産業の誘致場所を作り始めました。
計画から分譲までには数年かかります。分譲開始は、方針策定の3年後の21年度からでした。
25年度までの5年間で分譲されたのは、8か所。
ところが23、24、25年度に準備が始まり、26年度から30年度までの5年間に分譲、あるいは分譲予定箇所は4か所へと半減しました。
計画中を含めても5か所、6割強です。
 
そこで知事。1点目として、いよいよ圏央道が全通する時期にスローダウンした現状をどう捉えていらっしゃいますか。
2点目は「田園都市産業ゾーン基本方針」は28年度に終わります。企業局による開発、民間開発、土地区画整理事業。あらゆる手法を講じて「次の10年」に向けて29年度から新たな計画を立て、再浮上させるご決意はありますか。
お答え願います。
 
次に、圏央道インターチェンジ周辺開発について、具体的な事例をあげお尋ねします。
私は昨年の12月定例会で、圏央道インターチェンジ周辺開発について、県が市町村を主導して進めるべきであると質問いたしました。
知事は「県の努力が足りないというご指摘に対しては、謙虚に受け止めて頑張ります」と答弁なさいました。
しかし、どうでしょうか。1年経って目に見える成果は出たでしょうか。
狭山市、坂戸市、川島町などでは圏央道を生かした産業団地の開発計画があります。坂戸インター東部では9月に「地権者協議会」も発足しました。
一方、ある首長さんと話した時には、開発適地が農業振興地域の農用地のため、なかなか農林調整が進まないとのぼやきともとれる話がありました。
農用地は大事です。でも、インターは海でいえば港です。横浜港と神戸港が我が国の発展をけん引したように、埼玉の発展はインター周辺を、「港」にできるかどうかが、カギを握っています。
農地転用の手続きに関する国との折衝についての県職員の経験値は、市や町を圧倒しています。インター周辺は港なんだ。この場所の農地は、ほかと違うという意識をもつことが大事です。
来年4月からは、農地転用許可の権限が都道府県に移譲される予定です。市街化区域の編入手続きにおける農林調整は国に残るにしても、インター周辺の農地については、市や町に開発の意向があれば、県が全面的に前へ出て推し進めるべきではないでしょうか。事務レベルで暗礁に乗りあげたら知事の出番です。まとめて知事から前向きなご答弁を承りたいと存じます。
 
4点目として、埼玉県最大の街である浦和と大宮は、圏央道から遠い。埼玉百年の計に立って、17号バイパスの上を使い、知事が首都高の圏央道への延伸の道筋をつけるべきと考えます。延伸に向けて、国と直談判なさるお考えはありませんか。知事の前向きなご答弁を承りたい。
「埼玉版 政労使会議」の開催時期と議題について
続いて「埼玉版 政労使会議」の開催時期と議題についてについて、知事にお聞きします。
国は平成25年に政府、労働界、経済界の代表が賃上げなど雇用環境の改善などを議論する場として「政労使会議」を設置。一定の成果を上げてきました。
これを受け10月5日、厚生労働省が都道府県労働局長あてに、地方版の「政労使会議」を年内に設置するよう通知したところであります。
いらい2か月。県内での開催の見込みはいつになるのか。ご答弁をお願いします。
 
2点目は、何を議題として議論するかについてです。
ワーキングプアの後、ブラック企業、貧困率などの言葉がマスコミにひんぱんに登場しています。
女性やシニアのための施策は、それはそれで大事です。
しかし私は「若者を安い賃金で働かせる」ことを、真っ先に改善しなければ日本の明日はないと思います。
貧困ラインは手取りで年収122万円、月収で10万円程度といわれ、約16%、6人に1人がそれを下回る貧困層です。特に若者の貧困率の上昇は深刻です。
貧困層を生む最大の要因は、「非正規」のまま働き続けることです。
今野晴貴氏は週刊東洋経済で、「たとえ正社員の経験が長かったとしても、一度、非正規雇用に転じればそこから正社員に立ち戻るのは難しくなる。一度はまると抜け出せなくなるアリ地獄のようだ」と述べています。
藤田孝典氏の『下流老人』を読みましたが、
非正規社員であり続ける若者は「下流老人」への道をまっしぐらに進む。逆に正社員化を進めれば「下流老人」の発生を防げるというとの読後感を抱きました。
大筋の議題は「賃上げ」ですが、それに加えて、非正規社員の正社員化、さらに「青少年の雇用の促進等に関する法律」を契機としたブラック企業対策などを「埼玉版 政労使会議」の優先議題とすべきと考えますが知事のご所見を承りたい。
 
課題の二つ目は、ブラックバイトです。
中京大学の大内裕和教授の調査によると、賃金未払い、サービス残業、本人の希望を無視したシフト設定、パワハラ、セクハラなど、違法行為や劣悪な働かせ方が横行しておりバイトに潰される苦学生を見て「ブラックバイト」と名付けたそうです。
朝日新聞出版が10月末に発売した本のタイトルも衝撃的でした。
『女子大生風俗嬢 若者貧困大国・日本のリアル』です。
ノンフィクションライター・中村淳彦の新著です。
ブラックバイトの根絶も議題に加えるべきと考えます。ご答弁をお願いいたします。
建設業の育成
次に建設業の育成についてお伺いします。
10月15日付けの埼玉建設新聞に、元国土交通省事務次官の佐藤直良(なおよし)の独自調査に基づく発言が掲載されていました。
「地域の建設会社が、営業利益率3%に届けばいい方」 です。
建設会社の利益率は3%を下回っているということです。
多くの県内の建設会社は、建設業だけではやっていけず、不動産業など他業種の部門の利益でしのいでいるのが、実情です。廃業・倒産も続いています。
太田さんは、大臣就任後、三年連続で、公共事業設計労務単価を引き上げました。担い手三法を制定し、建設会社に適正な利潤をもたらすことを発注者の責務とし、本年度をその「元年」としました。
「公共事業は無駄」と言われ、「3K」の仕事はいやだといわれた業界を、新たな「3K」、すなわち「給料が上がる」「休暇が増える」「希望が持てる」ようにしたいとの強い思いからです。
災害列島日本で、鬼怒川堤防が決壊した時に1週間で仮堤防をつくり、東日本大震災の時に2日間で、11ルートの道路啓開作業を行って道路上のがれきを撤去し、自衛隊などの車両の走行を可能にしたのは、地域の建設会社、作業員の皆さんです。
この国の国土を守っているのは、手を土と泥、油にまみれさせ、全身に汗を流す建設業の皆さんです。
しかし、せっかく引き上げられた労務単価も85%に切ってしまうのが、現状の一般競争入札です。
その結果、
建設埼玉が今年、2879枚の回答を集めた「一人親方・職人・労働者」アンケート調査によると、建設職人の賃金は、この4年間、全く上がっていません。
「賃金を500円でもいいから上げてほしい」「月に一度でいいから土曜日を休みにしてほしい」「収入が不安定。絶対跡を継がせたくない」
これが実際に現場で働く皆さんの悲痛な声です。
 
国、県、市の土木工事を受注している複数の県内建設会社の社長から言われました。
「国の仕事は、利益が上がる。県は平均していえば、赤字にならなきゃいい方。県が、安ければいいって感じだから市だって右へならえで同じ」。
「じゃあ、建築工事はどうですか」と水を向けると「県発注の建築工事は利益を見込めないから手を出さない」。
これが実態です。
 
「でも受注している」とおっしゃりたいかもしれませんが、仕事が少ないため、社員を遊ばせたくないから、調査基準価格もしくは失格基準価格というルールの最低ラインの価格で入札し、利益率が3%にもならない仕事を受注しています。
失格基準価格は73%くらい、WTOにいたっては底なしとも言われています。
企業局の発注一覧も見ました。大手の受注する電気関係の高い落札率に比べて土木の落札率の低さが際立っています。
 
建設会社への適正な利益の確保の責務を発注者に定めた担い手三法の精神を、埼玉県庁はどう生かしたと言えるのですか。
県内建設会社、職人さんたちの現状についての認識も含め、岩崎副知事よりご答弁をお願いいたします。
さらに、公共事業設計労務単価に基づいた労務費は100%認め、一般管理費も80%まで認める形で最低制限価格、調査基準価格、失格基準価格を引き上げること、総合評価の全適用などによって、利益率が3%にも満たない現状を改善するお考えはありませんか。岩崎副知事よりお答えください。
公営企業管理者には、土木以外の電気、設備工事の発注にあたって、県内業者の悲願であり技術力の向上につながるJVをもっと多く取り入れることについてご答弁願います。
#7000の時間延長
#7000、大人の救急電話相談の時間延長について保健医療部長にお尋ねします。
#7000が昨年10月に始まってから1年2か月。1日当たり平均60件のご相談を看護師さんが受けています。誇るべき本県の施策です。相談時間を延長すれば「安心」が拡大します。そこで、これまでの実績と、それ踏まえた相談時間の延長について、保健医療部長の前向きなご答弁を求めます。
さらに、#7000は、まだ本県も含め5つの都県でしか実施していない先駆的事業です。国として全国で展開するよう政府に要請すべきです。上田知事にご決意をお聞きします。
「自転車王国 埼玉として、保険加入No1」を目指せ
次に「自転車王国 埼玉として、保険加入No1」を目指すことについてご質問いたします。
兵庫県は、「自転車の安全な利用の促進に関する条例」を、本年4月から施行しました。最大の目玉は自転車保険の加入を、本年10月から義務づけたことです。
販売者に対して、自転車損害賠償保険に加入しているかを購入者へ確認させる義務を定め、加入が確認できない場合は、加入を勧めるよう規定しています。
・平成25年7月には兵庫県で11歳の小学生が起こした事故で9521万円
・26年1月には東京都大田区でスポーツ自転車の事故で4600万円。
など自転車事故を起こし、高額な賠償責任を負う事例は枚挙に暇がありません。
一方、本県では今年、女子高校生が信号無視で交差点に進入し、死亡する事故が起きました。自転車側の過失が大きければ相手方自動車の保険からの賠償はのぞむべくもありません。転倒事故も多い。
ですから携帯電話会社やコンビニまで賠償責任や傷害保険の販売に乗り出しています。
 
そこでまず、県民の自転車保険への加入状況をどう把握なさっているのか、あわせて自転車の人身交通事故の発生状況について、県民部長より、ご答弁を願います。
 
公明党県議団では10月に石渡、権守県議が兵庫県を視察しました。さすがと思ったのは保険加入の義務付けとあわせて兵庫県が交通安全協会とタイアップして「ひょうごのけんみん自転車保険」を開発したことだと教えてくれました。
兵庫県は「民間が先行しているから」ということで済ませなかった。
ABCの3種類のプランがあり、賠償だけ、賠償プラス本人の傷害補償、さらに家族全員の補償です。
賠償限度額は1億円、TSマークの付帯保険の2倍です。
傷害保険はBCの場合、本人1000万円。TSの保険の10倍です。
年間掛け金は1000円から3000円までと、県が乗り出しただけあって、コンビニの保険の約半額です。
加入者は条例施行後の半年間で6万人を超えたそうです。
それだけではありません。
篠山市、加西市、小野市、三木市などは独自に掛け金を助成し、丹波市は中学生を対象に公費で一括加入させる検討を行っていると聞きます。
自転車事故に備える県民ムーブメントが起きているのです。「県の信用」の力です。
 
そこで、知事にお伺いします。埼玉版の自転車保険を開発なさいませんか。
ぜひ、前向きなご答弁を承りたいと存じます。
介護について
続いて、介護について知事並びに福祉部長のご見解をお尋ねします。
「介護職員の不足」「職員の処遇改善」「介護難民」「介護離職」。
課題は山積しています。
知事も選挙では、特別養護老人ホームなど介護施設の2万床の増床を公約に掲げられました。
まず、知事のおっしゃった2万床の内訳について、お聞かせください。
 
次に、介護付き有料老人ホームについてお尋ねします。
介護付き有料老人ホームは、特養と違い、建設にあたって公的補助は全くありません。地方自治体の計画に基づいて設置が進み、公的な基準に従って運営されています。
介護施設が足りない、と叫ばれますが、介護付き有料老人ホームはどうでしょうか。
他の自治体からの流入なども勘案して整備が認められてきましたが、ほとんどが、定員割れです。
施設を県内に展開なさっている会社に調べていただきました。
本県の27年度3月現在の開設済みの定員は1万8095人。これに対して、同時点の県内の介護保険適用による利用者数は1万3345人。約74%です。
この数字は入所待機者の多い特別養護老人ホームに比べて極めて低い数字です。
私は当面、需給動向を見ながら計画を練り直すべきと考えますが、福祉部長からご答弁をお願いします。
 
続いて知事にお伺いします。
ベッドが空いているのに、なぜ「介護離職」が増えるのか。一番の理由は施設の利用料が「高い」からだと考えます。
介護保険の1割負担も含めた金額を申し上げます。
所得階層第4段階の人が特養のユニット型個室に入所した場合は月額126094円。この会社の介護付き有料老人ホームの入居者負担は月額193300円。認知症グループホームは月額157031円です。
この差が、大きい。
子どもからの経済的支援を受けたとしても、平均的な年金収入の範囲内で入のは難しい。だから在宅で介護せざるを得なくなり「介護離職」を生むと思います。
「介護離職」をさせてまで「在宅介護」を推進することが正しい方向でしょうか。
一方、介護付き有料老人ホームは、特養と同様、3人の入居者に対して1人の職員を配置する基準です。この基準を介護の実情に応じて緩和すれば、その人件費分を、職員の処遇改善につなげたり、入居者負担を減らすことが可能となります。
厚生労働省が「机の上」で考えた基準ではなく、入居者の介護の実情に応じた職員配置基準を「埼玉モデル」として作るべきと考えます。
 
また「高すぎる月額の負担」を抑制するためには「家賃補助」の導入が必要だと思います。
同じ要介護のための施設、入居でありながら、両施設が建設時から入居者まで公的補助の対象外に置かれているのは、おかしいと思います。
三点目として、建設にあたって事業者が、個室と共同スペースの面積を縮小できれば家賃の抑制につながります。埼玉と群馬のアパートとでは同じ家賃でも面積が違うでしょう。
埼玉県を「介護総合特区」にして職員配置基準、家賃補助、建築基準の緩和などをモデル的に実施できるよう知事から政府に働きかけていただきたい。力強いご答弁を期待します。
 
続いて、東京都が施設整備の補助金を出し、埼玉県内に、東京都民向けの特別養護老人ホームを建設することを、3年後の第7期介護計画からスタートさせるお考えはないか、知事にお尋ねします。
入居するのは都民だけではなく、もちろん埼玉県民も入ります。埼玉だって特養の入居待ちが多いのですから。
都民と県民の割合は両知事の話し合いです。
日本創成会議の増田寛也座長は6月15日、東京都の豊島区長を訪問しました。豊島区が姉妹都市である秩父市に特養の整備を打診し、秩父市長が「土地はある」と答えたことを受けてのものです。
東京には「土地がない」のです。
1都3県の連携という言葉はよく聞きますが、介護についてはロボットの話しか聞いていません。
特養についても連携を図るべき時が来たと申し上げたい。
姉妹都市だけに限定すべき課題ではありません。
知事からぜひ前向きな答弁をお願いいたします。
 
特養についてもう一点お尋ねします。福祉医療機構は、特養建設の貸付にあたって、本年4月以降、総事業費に占める自己資金の割合を引き上げ、原則1割程度求めるようになったと聞き及びます。特に、新規開設をめざす法人にとっては、建築費のアップに加え、ダブルパンチであり、資金計画を根底から揺るがす事態を招来しました。千葉県は1床あたりの補助金をそれまでの400万円を27年度から450万円に積み増しました。
 
そこで、福祉部長に、本県では、自己資金比率の引き上げの影響がどういう形で波及しているのか、事前相談に来ていた新設法人予定者の撤退の実情などをお示しください。さらに、知事からは、千葉県のような措置を講じるお考えはないか、ご所見をお聞かせください。
 
認知症サポーターの養成と高齢者が運営する介護予防教室の全県展開
介護の最後に、認知症サポーターと高齢者が運営する介護予防教室の拡大について福祉部長のご所見をお尋ねします。県の懸命な取り組みは評価しますが、まず、認知症サポーターの養成状況はどうなっていますか。お答えください。
次に、先日、川越市藤倉自治会の老人会が開催する介護予防教室に参加しました。定刻前に喜々として集い受付を済ませる皆様の姿に感動しました。公的補助はありません。皆さんが「その気」になれば、こんなすごい集いになるのだと思い知らされました。川越市は「いもっこ体操教室」と名付けており、医療法人真正会のスタッフが教え、運営は地元の老人会が行っています。隔週1回開催で6回開きます。
みなさんの笑顔に「お仕着せ」でない試みの強さを感じました。川越市では自主的に介護予防に取り組むグループが130を超え、日本経済新聞でも取り上げられました。
こうした高齢者が運営する介護予防教室を全県展開すべきと考えますが、福祉部長のご所見をお伺いします。
JR川越線の複線化
質問の最後に、「JR川越線の複線化」についてお伺いします。
JR川越線は県内の重要な路線ですが、日進駅より川越駅方面は単線です。列車のすれ違いのために駅で停車することもあり、西大宮駅が開設されてから、川越・大宮間の所要時間は長くなりました。
 川越には、昨年過去最高の約658万人もの観光客が訪れ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは霞ヶ関カンツリー倶楽部でゴルフ競技が予定されています。期間中、20万人以上の観客が訪れるとも予想されています。
 現在、国の交通政策審議会では、東京圏における今後の都市鉄道のあり方について審議中であり、県では、JR川越線の複線化について事業提案をしたと聞いております。新たな答申は15年ぶりであり、今後の事業化の進展を左右する重要な機会です。
 最大のチャンスが巡ってきました。
 是非、交通政策審議会の次期答申に位置づけられるよう強く働き掛けていただきたい。企画財政部長の御決意を伺います。